2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26462266
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
新倉 隆宏 神戸大学, 医学部附属病院, 特命講師 (40448171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 相亮 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40533732)
岩倉 崇 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (60437473)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 難治性骨折 / 炭酸ガス / 骨欠損 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究実績として、高エネルギー外傷による難治性骨折を模した動物モデルとしてラット骨欠損モデルを確立した。これはラットの大腿骨骨幹部で骨切り、骨切除を行い、ラット大腿骨固定用に特別に作成した創外固定器を用いて骨欠損を架橋して固定する動物モデルである。再現性ある動物モデルを確立できたので、平成27年度には、この動物モデルに炭酸ガス経皮吸収を行うことで骨再生、治癒が促進されるかどうかを検討した。ラットの大腿骨中央部に幅1mmの全層骨欠損を作成し、炭酸ガス経皮吸収を行う群と行わない群で骨再生、治癒の過程を比較検討した。炭酸ガス経皮吸収は、骨欠損作成手術後、週5日間、一日20分間行った。患肢に炭酸ガス経皮吸収を促進するハイドロジェルを塗布し、周囲密封空間に100%炭酸ガスを充満させる手法を用いた。ラットに麻酔を施さずとも炭酸ガス経皮吸収を行える、ラットを固定する装置を開発した。骨欠損作成手術後4週間まで経過観察を行った。1週間毎に単純X線写真撮影、マイクロCT撮影、組織学的評価を実施した。X線学的な骨癒合評価において、両群間に統計学的有意差を認め、炭酸ガス経皮吸収を行った群の方が骨欠損部の骨再生、骨癒合が促進されることを見出した。また、組織切片を作成しサフラニンO染色で評価すると、炭酸ガス経皮吸収を行った群の方が骨欠損部における軟骨形成、その後の軟骨吸収、それに続く骨再生が加速されていることが分かり、この骨再生促進は軟骨内骨化の加速によるものであることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
われわれの先行研究において、炭酸ガス経皮吸収は軟骨内骨化の加速を介して骨折の治癒を促進することを報告している。これと同様の治癒促進作用を難治性骨折においても得られるかを調べることが本研究の目的であるが、骨欠損という介入なしでは治癒し難い動物モデルにおいても、炭酸ガス経皮吸収を行うことで骨再生を促進できることを明らかにできた。また、その機序は仮説の通り軟骨内骨化の加速であることも見出すことができ、満足できる結果であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
骨の再生、骨欠損の治癒は画像評価、組織評価だけでは不十分で、骨の力学的特性の回復が得られているかも調べる必要がある。実験に供したラットの大腿骨を摘出し検体として保存しているので、今後はこれらを用い、力学的強度について調べる予定である。これによって骨再生のより詳細な評価ができると考えている。また、ウサギ脛骨での骨延長を行う動物モデルを用いて、炭酸ガス経皮吸収が骨延長による再生も促進することができるかも検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
実験必要物品購入費用が当初予定していたより抑えられたため若干の次年度使用金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において、実験必要物品購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)