2015 Fiscal Year Research-status Report
CD271陽性骨髄幹細胞を用いた変形性関節症に対する軟骨再生治療の試み
Project/Area Number |
26462288
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
宮崎 剛 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (80324169)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 研造 福井大学, 医学部, 教授 (60273009) [Withdrawn]
坂本 拓己 福井大学, 医学部附属病院, 医員 (40634837)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 軟骨再生 / 変形性膝関節症 / MIAモデル / ヒアルロン酸 / CD271 / BMSc |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】ヒアルロン酸(HA)による疼痛抑制や治療効果に関しては不明な点も多い。今回OA自然発症動物モデルを用い、HAの関節内注入による除痛効果について検討を行い、またHAの新たな治療の可能性として、BMSCsの関節内直接注入における軟骨修復効果にHAが及ぼす影響について検討した。 【方法】実験にはOA自然発症動物モデルとしてハートレー系モルモットを用いた。HA(分子量270万Da)を28週齢の時点で片側の膝関節内に注入し(0.5ml/kg)、もう一方にはPBSを注入した。注入2週後にL4後根神経節(DRG)において疼痛関連物質であるSP、CGRP、ATF3の陽性細胞出現割合を比較検討した。 次にHAとBMSCsによる軟骨修復を見るために、CFDA-SE cell tracer kitにてlabelling したBMSCsを平均細胞数7×106cells/mlの濃度となるように HAと混合した群(HA+BMSCs群)と、HA群、PBS群、PBS+BMSCs群を作成しそれぞれ膝関節内に注入、注入後1,3,5週に膝関節軟骨を採取し、H&E、サフラニンO染色、modified mankin scoreによる軟骨の組織学的評価を行い、蛍光顕微鏡にて蛍光標識したBMSCsの局在,経時的な分布の変化の検討を行った。また、抗2型コラーゲン抗体を用い、免疫組織学的検討, Western blotting(WB)法による半定量的解析を行った。 【結果】DRGにおけるSPの陽性細胞割合はPBS投与側において14.9%であるのに対し、HA群では8.2%に減少しており、CGRPにおいても同様の結果が得られた。次にHAの軟骨修復効果について、HA+BMSCs群では他の3群と比較して、mankin scoreは有意に改善していた。蛍光標識された細胞は、PBS+hBMSCsではほとんど取り込まれなかったが、HA+BMSCs群ではOA軟骨表層を中心に取り込まれていた。WB法を用いた半定量解析でも、HA+BMSCs群では基質中の2型コラーゲン量が増加していた。 【考察および結論】HAは病的な関節軟骨に速やかに浸透し長期間残存するため、変性軟骨の修復と除痛に働いていると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一次性および二次性の動物モデルの作成は順調に行われており、現在MSCsを関節内直接投与させた結果と、ヒアルロン酸を関節内投与した結果を解析中である。preliminaryにはBMSc投与によって、早期から抗炎症作用の発現が見られ、これまで考えられてきた細胞外基質の産生による軟骨再生ではなく、抗炎症作用が強く作用している可能性が示唆された。ヒアルロン酸のデータとも比較検討を行い、本年度には結果を出せる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
BMScの関節内直接投与においては比較的進行した変形性関節症に対しても抗炎症作用があることが現在のデータでは示せている。今後は標識させたBMScを関節内投与することで、移植細胞が変形性関節症の軟骨組織内に直接浸潤しているのかを確認し、さらに通常のBMScの3-5%に存在しているといわれる、CD271陽性のBMScを選択的に培養しそれにより軟骨再生が増強されるのかを解明していきたい。
|
Causes of Carryover |
補助事業の誠実な執行に努めた結果、当初計画より経費の使用が節約できたことにより未使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該未使用額を次年度に持ち越して追加の試薬・抗体・消耗品等購入する。
|