2014 Fiscal Year Research-status Report
メカニカルストレス による軟骨細胞の miRNA発現のエピジェネティック制御
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26462299
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西田 圭一郎 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80284058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 俊孝 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50194262)
川畑 智子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90600669)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | miRNA / 軟骨代謝 / メカニカルストレス / マイクロアレイ解析 / エピジェネティクス / HDAC / 新規疾患修飾性OA治療薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性関節症(OA)における軟骨破壊のメカニズムを解明するために、軟骨細胞においてメカニカルストレスによる蛋白分解酵素発現を制御するmicroRNA(miRNA)の同定と、その発現を調整するエピジェネティックな修飾の関係を明らかにする。さらにヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤によるmiRNA発現の制御および軟骨破壊抑制効果をin vitro, in vivoで証明することで新規疾患修飾性OA治療薬の開発を目指す。 ヒト軟骨細胞(Lonza社)を細胞伸展装置用チャンバー上で培養し、細胞伸展装置STB-140(STREX社製)を用いて伸展刺激(0.5Hz, 10%伸張, 30分、0.106Hz, 5%伸張, 30分)、またHDACiを加えmiRNAを回収し、マイクロアレイを使用し網羅的なmiRNA発現の解析を行った。マイクロアレイには、EXIQON社のmiRCURY LNATM microRNA Array(miRBase ver. 18登録、annotation情報はmiRBase ver. 21対応))を用いた。 コントロールと0.104Hz, 5%伸張, 30分の伸張刺激を与えた軟骨細胞では、miRNAの発現が2倍以上差を認めたものは約60種類、また伸張刺激を与えた群にMS-275(HDACクラスⅠ阻害剤)を添加したものでも約80種類のmiRNAの変動を確認した。メカニカルストレスに軟骨細胞が応答する際にmiRNAが少なからず関与していること、またその制御発現にHDACiが関与していることが示唆され、今後具体的にmiRNAの発現をPCRで確認、次いで有意の結果が得られたものについて、その機能について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイクロアレイに解析をかけるサンプルの品質検定には従来の吸光度測定に加え、Agilent 2100 Bioanalyzerを用いたRIN値も参考に純度の高いmiRNAサンプルを対象としている。そのため、純度を高くするべく伸張刺激後のmiRNA回収作業では、QIAGEN社製のmiRNeasy kitを用いカラム法でRNAの精製を行っていた。 当初サンプルの吸光度測定で、OD260/280値はarrayにapplyできる純度で精製可能であったが、RNA回収kitの標準プロトコールではOD260/230値がarray条件を下回るサンプルが多数出現していた。カラム法での精製過程による塩類の混入を防止するなどの改善策に加え、回収プロトコール自体をQIAGEN社と相談するなど行い、回収するRNA純度を高めていく過程に時間がかかった。 マイクロアレイの結果については、1色法により伸張刺激の強弱、HDACi添加の有無など10パターンの解析を現在進行中である。また、今後バイオインフォマティクスによりmiRNAのtarget geneの特定を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
軟骨細胞のメカニカルストレスへの応答について、マイクロアレイ解析による網羅的なmiRNA発現について検討を行った。伸張刺激やHDACの関与が示唆される結果が判明しており、今後はRUNX-2、MMP-3、MMP-13、アグリカナーゼADAMTS-4,-5の遺伝子発現変化について新規候補miRNAについて確認していく予定である。 また、アンチセンス阻害剤を用いたmiRNA阻害あるいはmiRNA発現プラスミドを用いた過剰発現により、各種転写因子、タンパク分解酵素発現に与える影響を確認する。In vitroで確認された新規miRNAの機能解析については、ラット実験的OAモデルを用いin vivo でも解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
マイクロアレイ用サンプルの純度を高める過程で時間を要し、当初の予定通りに研究が進行しなかった。また、これに伴い、研究成果を学会等で発表する機会がなく、旅費として計上していた予算が使用できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでに得られたマイクロアレイのデータから、有意に発現が変化したmiRNAの絞込みの解析費用が必要である。また、絞りこまれた個々のmiRNAのRT-PCR解析による確認作業を行っていく過程でのPCR用プライマーの購入費用に使用する予定である。
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