2014 Fiscal Year Research-status Report
骨粗鬆症における骨組織内の骨代謝/疼痛関連分子の発現変化と疼痛発生機序の解明
Project/Area Number |
26462308
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
射場 浩介 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (60363686)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | TRPV1 / ASIC / P2X / 骨代謝マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】侵害受容体は自由神経終末に存在し、侵害刺激により疼痛を誘発する。侵害受容体の1つであるTRPV1は破骨細胞と骨芽細胞の分化制御による骨代謝調節作用を有することが報告されている(Idris et al,Bone,2010)。本研究では侵害受容体のTRPV1, ASICs, P2X受容体の骨組織における発現変化と骨代謝調節作用を卵巣摘除(OVX)マウスを用いて検討した。 【方法】8週齢C57/BL6雌マウスにOVXと卵巣摘除を行わない偽手術(sham)を行った。術後6 週でOVXとshamマウスの大腿骨からRNAを採取した。また、大腿骨をflush outし、48時間後に骨髄細胞からもRNAを採取した。侵害受容体のTRPV1, ASIC1,2,3, P2X2,3の発現をそれぞれ検討した。また、OVXマウスにTRPV1, ASIC3, P2X2/3阻害薬を投与し、骨代謝マーカーのRunx2, Osterix, Osteocalcin, RANKLの発現変化を検討した。 【結果】骨組織と培養骨髄細胞にTRPV1, ASIC 2,3, P2X2,3受容器体の発現を認めた。骨組織ではASIC1とP2X2の発現が、培養骨髄細胞 ではASIC1と2の発現がOVX群で有意に増加していた。また、TRPV1, ASIC3, P2X2/3阻害薬は、OVX群で増加したRunx2, Osterix, osteocalcin, RANKLの発現を有意に抑制した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疼痛行動を呈したOVXマウスの骨組織内における疼痛関連分子の発現変化について検討することを目的に研究を行った。これまでの結果で、OVXマウスでは対照(sham 手術)マウスと比較していくつかの侵害受容体が大腿骨において、発現が増強していることを認めた。さらにこれらの受容体抑制薬が骨代謝を調節することを明らかとなった。研究結果として当初の研究目標に、順調に近づいていると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに侵害受容体(TRPV1)阻害薬がOVXマウスにおける疼痛行動を有意に改善することを報告してきた(Abe, 2015)。また、本研究より侵害受容体が骨代謝マーカーの発現調節作用を有することが明らかとなった。以上より、侵害受容体は骨粗鬆症の病態に伴う疼痛発生と骨代謝異常の両方に関与していると考えられた。今後は侵害受容体に対するagonistやantagonistの投与による疼痛行動変化と骨代謝変化について、詳細に検討することにより、局所性の骨粗鬆症変化を伴う慢性疾患の発生メカニズムを検討する。
|
Causes of Carryover |
研究計画で予定した疼痛関連分子の発現に関する研究内容について、比較的順調に結果がでたこと、人件費や謝金が必要なかったこと、研究計画で予定していたマウス吊り下げモデルを用いた研究が、本格的に進んでいなかったことがあげられる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画内容の一つのマウス吊り下げモデルを用いた骨粗鬆症性疼痛と骨代謝変化についての研究を本格的に進めていく予定である。
|