2014 Fiscal Year Research-status Report
トランスクリプトーム情報を基盤にした骨芽細胞と脂肪細胞の分化機構の統合的解析
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26462317
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
水野 洋介 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (30406532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲地 豊 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (10522097)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トランスクリプトーム / 転写開始点 / スプライシングバリアント / 選択的ポリA付加 / 非コードRNA / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度では、間葉系幹細胞に脂肪細胞分化誘導刺激または骨芽細胞分化誘導を加え、経時的に細胞を採取して得られた全RNAを用いて詳細なRNA発現解析を行った。具体的には、まず解析対象のサンプルとしてマウス間葉系幹細胞系幹細胞であるST2細胞を用いて骨芽細胞分化と脂肪細胞分化を誘導し、その途中過程および誘導後の7点のタイムポイントにおいてそれぞれ細胞を採取した。分化誘導後のサンプルにおいてアルカリフォスファターゼ染色、BODIPY染色、及び分化誘導マーカー遺伝子発現定量を行い、骨芽細胞分化と脂肪細胞分化の誘導を確認した。2方向の分化誘導過程において異なる選択的スプライシング発現変動を持つRNAバリアントを同定するため、得られたRNAを用いてエクソン発現アレイ解析を行った。また、2方向の分化誘導過程において異なる発現変動を示すマイクロRNAを同定するため、エクソン発現アレイに用いたものと同じサンプルを用いてマイクロRNA発現アレイ解析を実施した。さらに、3’ UTR長のバリアントと非コードRNAの発現変動の検出とエクソン発現アレイデータの検証のため、同じサンプルを用いてRNAシーケンスも実施した。エクソン発現アレイとRNAシーケンスの解析で、脂肪細胞分化誘導時に転写因子PPARγのバリアントの一つであるPPARγ2の特異的発現上昇を検出することができ、本解析は分化を制御するRNAバリアントを検出するための有効な研究手法であることが確認された。同様の解析により、それぞれの分化サンプルで顕著な発現変動を示すRNAバリアントや非コードRNA、マイクロを検出することができた。これらのRNAバリアント及びncRNAの中に、実際に分化の制御に関わるものが含まれていると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エクソン発現アレイを用いた解析により、骨芽細胞分化、脂肪細胞分化時に発現が特徴的に変動するRNAバリアントを多く検出することができたが、分化を制御する候補遺伝子としてリスト化するまでには至らなかった。ただし、当初は平成27年度に実施する予定だったRNAシーケンスとマイクロRNA発現アレイ解析について、平成26年度中に前倒しで実施する事ができた。RNAシーケンス解析により、エクソン発現アレイで得られた解析結果との比較検証を行うことができた。またマイクロRNA発現アレイ解析により、2方向の分化誘導時における既知マイクロRNAの詳細な発現プロファイリングを行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたデータを更に詳細に解析して、骨芽細胞分化、脂肪細胞分化の方向性を決定づけるRNAバリアントと非コードRNA、マイクロRNAの候補の同定を進めていく。候補転写物について、RNA干渉法等を用いて実際に分化に影響を及ぼす可能性を検証していく。さらに、免疫沈降法やレポーターアッセイ等を用いて、その作用機序について迫っていきたい。
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Causes of Carryover |
発現アレイ解析の一部について、関連するメーカーとの共同研究体制を新たに構築することにより、費用を縮減する事ができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発現アレイ費用の一部を縮減することができたため、その部分については、平成27年度に候補遺伝子を同定するための検証実験に用いることを計画している。これにより、候補遺伝子の数をさらに拡大することが可能となる。
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Research Products
(2 results)