2014 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージ、T細胞由来サイトカインによる関節破壊制御機構の解明と治療への応用
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26462321
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
中島 新 東邦大学, 医学部, 准教授 (60583995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 晃一 東邦大学, 医学部, 教授 (30400823)
青木 保親 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70584001)
齊藤 雅彦 東邦大学, 医学部, 助教 (30718747)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 関節リウマチ |
Outline of Annual Research Achievements |
活動性の関節リウマチ(RA)の滑膜組織ではTh1, Th17などT細胞由来の炎症性サイトカインであるIFN-γ, IL-17や、マクロファージ由来のTNF-αが関節破壊の中心的な役割を果たしており、臨床的にTNF阻害薬(TNFi)の治療効果は極めて大きい。本年度は、RA滑膜におけるIL-17, IFN-γ, TNF-αの発現量の相関を解析し、TNFiがこれらのサイトカインの発現に及ぼす影響を検討した。 RA患者20例20関節から手術時に採取した滑膜を用いた(TNFi群:10関節、非TNFi群:10関節)。RNA抽出後、IL-17, IFN-γ, TNF-αに対するTaqMan probeを用いてリアルタイムPCRを行い、各サイトカイン間の発現量の相関、TNFi群と非TNFi群間の各サイトカインの発現量について統計学的解析を行った。 TNF-αはTNFiの有無に関わらず20関節中14関節(70%)に認められた。TNF-αの発現量はIFN-γと強い相関を認めたが(r = 0.659, p = 0.002)、IL-17 とは相関を認めなかった(r = -0.304, p = 0.192)。なお、IFN-γとIL-17の間には相関を認めなかった(r = -0.297, p = 0.204)。また、IL-17, IFN-γ, TNF-αのいずれもTNFi群と非TNFi群間で発現量に有意差を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は3年計画の1年目であり、研究概要に記載した通りある程度まとまった結果を出すことができた。研究成果は日本整形外科学会基礎学術集会などの国内における本研究領域の当該学会で発表することができ、達成度は「概ね順調に進展している」と評価した。現時点で本研究課題に関して第一報を英文誌に投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では関節リウマチ滑膜組織由来の炎症性サイトカインの発現を遺伝子レベルでしか解析できていないため、今後はタンパクレベルでも検証する必要があると考えている。また、IL-17, IFN-γ, TNF-αを中心とした炎症性サイトカインの発現パターンによって滑膜組織を分類可能することができれば臨床的に意義があると考えている。
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Causes of Carryover |
研究分担者の一人がサイトカイン濃度測定用のELISAキットを購入予定であったが、TNF-α、IL-17、IFN-γの発現に関するデータがある程度まとまったため、分担者と協議の結果、実験を進めるよりもデータ解析、論文投稿準備を優先して進めることとなった。このため購入をいったん保留とすることになったため残高が生じ、次年度に繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞培養、遺伝子解析、生化学的解析に必要な試薬、器具などの消耗品を中心に研究費を使用する予定である。一部はデータ解析に必要なソフトウェア、研究成果発表のための学会準備・出張費に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)