2015 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージ、T細胞由来サイトカインによる関節破壊制御機構の解明と治療への応用
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26462321
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
中島 新 東邦大学, 医学部, 准教授 (60583995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 晃一 東邦大学, 医学部, 教授 (30400823)
青木 保親 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70584001)
齊藤 雅彦 東邦大学, 医学部, 助教 (30718747)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / TNF-α / IFN-γ / IL-17 / 滑膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
活動性の関節リウマチ(RA)の滑膜組織ではTh1, Th17などのT細胞、マクロファージが浸潤し、これらの細胞から炎症性サイトカインであるIFN-γ, IL-17, TNF-αが組織内に多量に放出され、関節破壊の中心的な役割を果たしている。TNF阻害薬(TNFi)に代表される抗サイトカイン療法は寛解達成、骨破壊抑制を可能にし、IL-17阻害薬も現在臨床試験が進行中である。抗サイトカイン療法の問題点は不応・2次無効例の対処法であり、滑膜におけるサイトカインの発現パターン解析、他のサイトカインとの相対的な発現量の比較はこれらの問題点の解決に重要な手掛かりとなる。本研究では、定量的RT-PCRによってRA滑膜におけるIL-17, IFN-γ, TNF-αの発現量の相関を解析し、さらにTNFiがこれらのサイトカインの発現に影響を及ぼすかどうかを検討した。 TNF-αはTNFi使用の有無に関わらず約70%の関節に発現が認められ、TNF-αの発現量はIFN-γと強い相関を認めた。一方、IL-17 とは弱い負の相関を認めたものの、有意差はなかった。IFN-γとIL-17の間にも弱い負の相関を認めたが、有意差はなかった。また、IL-17, IFN-γ, TNF-αのいずれもTNFi群と非TNFi群で発現量に有意差を認めなかった。 TNF-αとIFN-γの強い相関は、Th1由来のIFN-γ刺激によるマクロファージからのTNF-α放出という、RAのいわゆるTh1 theoryを反映していると考えられる。しかしながらIL-17はTNF-α, IFN-γとの相関を認めず、このことはTh17-IL-17を軸とした異なる炎症カスケードの存在(Th17 theory)を示唆する。また、TNFiは遺伝子レベルではIL-17, IFN-γに影響を及ぼさなかったことから、TNFi不応・2次無効例に対するIL-17阻害薬の有効性が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
滑膜からのRNA抽出、cDNA合成、定量的PCRは予定通り終了し、TNF-α, IFN-γ, IL-17の発現量およびこれら3つのサイトカインの発現量の相関解析は概ね終了した。また、TNF阻害薬使用群と非使用群でのこれら3つのサイトカインの発現量の比較も終了した。以上より、本研究課題の2年目の進捗状況としておおむね順調に進展している、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では滑膜サンプル数が20と少ないため、もう少しサンプル数を増やして再検討する必要がある。特に各症例におけるTNF-α, IFN-γ, IL-17の発現量の相関に関して、TNF-αと IFN-γは比較的強い相関を認めているが、TNF-αと IL-17, IFN-γとIL-17は有意差はないものの、負の相関を認めている。サンプル数を増やして再度検討を行うことで、現時点で得られている結果を検証したい。
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Causes of Carryover |
研究計画当初は滑膜組織切片を作成し、免疫染色を行うための抗体購入費、ウェスタンブロットを行うための抗体購入費を計上していた。しかしながら、定量的PCRが順調に進んだこと、また、上記の実験を行うだけの時間的余裕がなかったことから断念した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今回生じた次年度使用額は、平成28年度分の助成金と合わせて、症例数を増やして滑膜からのRNA抽出、定量的PCRなどの遺伝子発現関連の実験費および論文執筆、本研究計画のまとめに必要なに諸経費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)