2015 Fiscal Year Research-status Report
亜鉛シグナルは運動器の構造と機能をどのように制御するのか?
Project/Area Number |
26462324
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
深田 俊幸 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70373363)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 亜鉛シグナル / 亜鉛トランスポーター / ZIP13 / ZIP14 / エーラス・ダンロス症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
必須微量元素である亜鉛の欠乏は成長や骨軟骨代謝に異常をもたらす。しかしながら、なぜ亜鉛の恒常性破綻が成長や骨軟骨代謝の制御に異常をもたらすのか、そのメカニズムは十分に解明されていない。申請者は、亜鉛トランスポーターZIP13が骨軟骨の形成に重要であり、その機能喪失が新規エーラス・ダンロス症候群をもたらすこと、ヒトZIP13蛋白質はホモ2量体を形成すること、ゴルジ体に局在する糖鎖修飾を受けない亜鉛トランスポーターであることなどを初めとする、ヒトZIP13蛋白質の生化学的および細胞生物学的特徴を示した。さらに、新規エーラス・ダンロス症候群(脊椎手掌異形成型エーラス・ダンロス症候群, OMIM 612350)の患者で同定された病原性変異型ZIP13蛋白質の特徴を解析し、病原性変異型ZIP13蛋白質がプロテアソーム系で迅速に分解されること、プロテアソーム系阻害剤の処理がそれらの蛋白質量と細胞内の亜鉛恒常性を正常化することを報告した。これらの結果は、脊椎手掌異形成型エーラス・ダンロス症候群の発症の分子基盤を示唆するものであり、他の要因に基づく運動器疾患の機序にも新たな理解を与えるものと思われる。 一方、我々は亜鉛トランスポーターZIP14が軟骨形成と全身成長に関わることを見出している。興味深いことにその作用機序はZIP13とは異なっており、この結果は亜鉛シグナルには特異性があることを示唆している。しかしながら、そのメカニズムは十分に解明されていない。ZIP13とZIP14を分子モデルとして推進する本申請研究は、亜鉛シグナルがどのように運動器の形成と機能に関わっているのか、その解答を導くものである。本プロジェクト遂行のために、ZIP13蛋白質に結合する分子をYeast two hybrid法でスクリーニングしており、既に複数のZIP13結合分子を単離している(未発表)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ZIP13蛋白質に結合する分子をYeast two hybrid法でスクリーニングし、複数のZIP13結合分子をクローニングして役割解明を進めている(未発表)。さらに、他の亜鉛トランスポーターについても結合蛋白質をスクリーニングしており、これら結合分子の亜鉛トランスポーターとの特異性について相互比較を進めている。また、Zip13遺伝子欠損マウスを用いて歯牙・頭蓋骨・結合組織の形態学的に解析し、脊椎手掌異形成型エーラス・ダンロス症候群の病態生理学的な理解に努めた(Journal of Veterinary Medical Science 2015; Journal of Hard Tissue Biology 2016)。さらに、ZIP14が鉄過剰症の病態発現に関与する可能性を示し、亜鉛トランスポーターの生理的役割の多様性とその機能破綻による病気への関わりを報告した (Cell Metabolism 2015)。
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Strategy for Future Research Activity |
Yeast two hybrid法でクローニングしたZIP13結合蛋白質について、分子細胞生物学的に生理的意義を解析する。ZIP14を初めとする他の亜鉛トランスポーターについても結合蛋白質のスクリーニングを実施して、それぞれの生化学的および生理学的意義と生物学的な役割の特異性を検討する。これらの進捗状況と今まで得た結果を考慮して研究方針を決定する。
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Causes of Carryover |
論文発表に伴う英語校正費用としての支出費が生じた一方で、所属変更や実験方法の再検討のため次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費の使途として、研究に必要な分子生物学試薬、生化学実験試薬、免疫化学実験、細胞培養試薬、マウス実験関連費、およびこれらに関連する器具の購入を申請する。また、研究成果を学会で報告する経費として旅費を、誌上発表するための経費として外国語論文校閲費を予算に計上する。
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[Journal Article] SLC39A14 Is Required for the Development of Hepatocellular Iron Overload in Murine Models of Hereditary Hemochromatosis.2015
Author(s)
Jenkitkasemwong, S., C-Y Wang, R. Coffey, W. Zhang, A. Chan, T. Biel, J-S. Kim, S. Hojyo, T. Fukada, and M. Knutson
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Journal Title
Cell Metabolism
Volume: 22
Pages: 138-150
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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