2016 Fiscal Year Research-status Report
吸入麻酔薬が幼若ラット海馬歯状回の顆粒細胞移動に及ぼす影響
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26462325
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 聡一 北海道大学, 医学研究科, 客員研究員 (40281810)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 吸入麻酔薬 / 学習記憶障害 / 海馬歯状回 / イソフルラン / セボフルラン |
Outline of Annual Research Achievements |
H26、27年度の研究により、1)幼若期のラット海馬顆粒細胞は揮発性吸入麻酔薬のGABAシグナリングのにより、正常な移動が抑制されること、2)GABAシグナリングによる移動抑制効果は生後13日齢までに起きていることが明らかとなった。齧歯類において、生後14日頃までの神経細胞ではCl-トランスポーターの分布が成体と異なり、14日齢まではNKCC1 > KCC2、14日以降はNKCC1 < KCC2となり、このためにGABA受容体を介したGABAの作用が成体とは逆に興奮性となると考えられている。H27年度までの研究で、これが揮発性吸入麻酔薬による海馬顆粒細胞の正常な移動を抑制することに関与することが示唆されたため、H28年度はNKCC1阻害薬であるブメタニドを前投与した上で揮発性吸入麻酔薬のセボフルランを投与し、顆粒球細胞の移動が正常化すること、およびウエスタンブロッティング法により海馬でのGABA受容体の定量も試みる予定であった。しかし、後述の理由により予定通りの研究を行うことができなかった。このため補助事業期間の延長を申請した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成27年4月に研究代表者の勤務変更があり、同年11月からは院長として勤務先の病院管理業務が多忙となった。また、研究の補助を行っていた大学院生も臨床業務多忙となった。このため、平成27年度までは予定通り計画が進行したが、平成28年度に予定していた研究を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は研究の補助を行っていた大学院生に時間的余裕ができる見込みであることと、研究代表者も、平成28年度よりは研究を行う時間が確保できる見込みである。よって補助事業期間の延長により平成29年度には、当初、平成28年度に行う予定であったNKCC1阻害薬であるブメタニドを前投与した上で揮発性吸入麻酔薬のセボフルランを投与し、顆粒球細胞の移動が正常化すること、およびウエスタンブロッティング法により海馬でのGABA受容体の定量を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度に予定していた研究を行うことができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初、平成28年度に予定していた、NKCC1阻害薬前投与が海馬顆粒球細胞の移動に及ぼす影響についての組織学的検討、およびウエスタンブロッティング法による海馬GABA受容体の定量化を実施するための、消耗品等の購入に充てる。
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