2014 Fiscal Year Research-status Report
麻酔プレコンディショニングがミトコンドリアイオンチャネルに与える影響
Project/Area Number |
26462326
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
丹保 亜希仁 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80531524)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 麻酔・蘇生学 |
Outline of Annual Research Achievements |
吸入麻酔薬による心筋プレコンディショニング作用(Anesthetic-induced Preconditioning; APC)の発現には多くの因子が関与している。心筋のイオンチャネルは,APCによる心筋保護作用や抗不整脈作用に関与していると考えられている。心筋梗塞による心筋壊死には,細胞内のカルシウム(Ca)過負荷が引き金となる。心筋細胞内のCaイオン,ナトリウム(Na)イオンは密接に関連しており,Na過負荷によってもCa過負荷が引き起こされて心筋壊死が進行する。 今回は,APCのNaチャネルに対する効果を調査している。吸入麻酔薬は,Naチャネルへの直接作用によりNa電流を抑制することはよく知られている。しかし,プレコンディショニングによりNa電流は有意に大きくなる(約1.5倍)ことが分かった。この変化は,ウエスタンブロッド法によりNaチャネル蛋白の発現が有意に増加しているためであることがわかった。また,活動電位に与える影響についてシミュレーションソフトによって検討したが影響はなかった。 しかし,Na電流増加による細胞内Na流入増加はNa過負荷,Ca過負荷につながる可能性があり,心筋壊死を抑制する過程としては説明がつかないため,心筋細胞の酸化ストレスへの耐性を比較した(心筋細胞がAPCによって,酸化ストレスへの耐性を獲得することは以前報告されている)。APC群において,酸化ストレス後のNa電流は非APC群と比較して有意に抑制された。APCによるNa過負荷の抑制が心筋保護に貢献していると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心筋細胞膜上Naチャネルの心筋保護への影響についての報告はほとんどない。Naチャネルについては順調に進行しているが,カリウムチャネルの進行がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
心筋保護作用によるチャネルへの効果について検討している。引き続き,ミトコンドリアレベルでの検討を行って臓器保護とチャネル,ミトコンドリアの関連について進展させていく。今後,敗血症における薬理学的治療の重要臓器における効果の検討へと進展させる予定である。
|
Causes of Carryover |
研究の進行が予定より遅れているため、計画通りの消耗品の購入に至らなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の進行状況に合わせて必要な設備および試薬などの消耗品を購入する。また、得られた成果を国内外の学会参加費用に用いる。
|