2015 Fiscal Year Research-status Report
麻酔プレコンディショニングがミトコンドリアイオンチャネルに与える影響
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26462326
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
丹保 亜希仁 旭川医科大学, 医学部, 客員講師 (80531524)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 麻酔・蘇生学 |
Outline of Annual Research Achievements |
吸入麻酔薬の前投与による心筋保護作用,Anesthetic-induced preconditioning(APC)の発現には,様々な機序が関連していると報告されている.臨床的には,広範な心筋壊死や致死性不整脈の抑制が重要であり,心筋のイオンチャネルが強く関連している.心筋イオンチャネルへのプレコンディショニング作用により心筋壊死巣の縮小,抗不整脈作用が言われているが,各イオンチャネルへの影響についてはよく知られていない.昨年度は,APCによるNaチャネル蛋白の膜状発現の増加,それに伴うのNa電流の増大が確認された. 食塩感受性高血圧症モデルラットは,プレコンディショニングされないと報告されている.上記のAPCによるNa電流の増大,Naチャネル蛋白の増加は食塩感受性高血圧症モデルラットでは観察されなかった.よって,Naチャネルに起こった変化はAPCによる心筋保護,抗不整脈作用へ寄与していると考えられる. また,酸化ストレス+再灌流障害(5分間)を与えた心筋細胞では,Na電流が以下のように変化した.コントロール群:-8.6±0.4 ⇒ -14.4±1.6 pA/pF,APC群:-13.2±1.0 ⇒ -9.4±0.9 pA/pF.このAPC群におけるNa電流の抑制は,Na過負荷とそれに引き続きおこるCa過負荷による心筋障害を抑制すると考えられた.また,再灌流から10分後,15分後とNa電流は両群において増大したが,APC群で有意に抑制されていた.コントロール群での再灌流5分後のNa電流と,APC群における15分後のNa電流がほぼ同程度であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NaチャネルがAPCにおいて,心筋保護・抗不整脈作用に重要であると考えられる.酸化ストレス・再灌流障害モデルは,APCの効果を観察するために有用であるが1つのデータを獲得するために時間かなり必要であった.しかし,Naチャネルに関する研究は終了した.
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Strategy for Future Research Activity |
敗血症モデルの確立,および臓器保護作用の研究. 敗血症の中でも致死率の高い,いわゆる重症敗血症~敗血症性ショックでの臓器障害を観察する必要がある.従来の腸管穿孔モデルやLPS投与を参考に行う予定である.臓器障害関しては,心臓エコーなどin vivoでの所見も重要と考えられる.
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Causes of Carryover |
勤務形態の変更により、研究遂行が遅れ、次年度使用額が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の進行状況に合わせて必要な消耗品および備品を購入する予定である。また、成果発表を予定する。
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