2014 Fiscal Year Research-status Report
高血糖における心保護戦略の開発:PDE3阻害薬の効果
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26462338
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
原 哲也 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (50304952)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 虚血再灌流傷害 / 気絶心筋 / ホスホジエステラーゼ阻害薬 / 高血糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病患者あるいは高血糖状態における虚血耐性の減弱が虚血性心疾患患者の周術期管理における大きな問題となっている。安全な周術期循環管理のためには、高血糖状態においても虚血耐性の増強効果が発揮される抗虚血効果の高い薬剤の開発が期待される。ホスホジエステラーゼ(PDE)3阻害薬は周術期に用いられる強心薬であり、その心筋保護効果は高血糖状態においても十分に発揮される可能性が高い。PDE3阻害薬のプレコンディショニング効果が高血糖状態の気絶心筋の回復に与える影響とその細胞内機序を用いて検討した。 ブタを用いて左前下行枝の15分間閉塞および90分間の再灌流による気絶心筋を作製し、PDE3阻害薬が高血糖状態の気絶心筋の回復に与える影響とその細胞内機序を検討した。左室収縮機能の指標として心筋に埋め込んだ超音波クリスタルによる局所心筋短縮率を用いた。血糖値400mg/dLの高血糖状態を作成し、虚血前にPDE3阻害薬であるオルプリノンを投与した。PI3K/Akt阻害薬およびPKA阻害薬の前投与の有無により、高血糖状態でのPDE3阻害薬の心筋保護効果におけるPI3K/AktおよびPKAの関与を検討した。 高血糖状態において、オルプリノンの虚血前投与により、気絶心筋の回復が有意に促進された。PI3K/Akt阻害薬およびPKA阻害薬で前処置した群で、オルプリノンの心保護作用におけるPI3K/AktおよびPKAの関与を示唆する傾向が得られたが、例数が十分でなく、有意差を見いだすには至らなかった。 27年度も引き続き検討を行い、オルプリノンのプレコンディショニング効果とその機序におけるPI3K/AktおよびPKAの関与を検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高血糖状態におけるオルプリノンの気絶心筋回復効果は明らかになったものの、その機序におけるPI3K/AktおよびPKAの関与が十分に検討できなかった。PI3K/AktおよびPKAの関与を検討する実験が予定よりも半分程度の例数でしか検討できておらず、27年度もPI3K/AktおよびPKAの関与を検討する実験を継続したい。傾向はあるので、例数を増やすことで有意差が見いだせると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は26年度の検討を継続し、その後に27年度に行う予定であった、オルプリノンのポストコンディショニング作用とその機序に関する検討を行いたい。 プレコンディショニング作用の結果が纏まったところで、その成果を国内外の学会で発表したい。
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Causes of Carryover |
実験の例数がやや少なかったため、動物の購入費も少なく、予定と差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度に不足した例数分の動物を購入する費用として、27年度の予算に加えて使いたい。
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