2015 Fiscal Year Research-status Report
Neurogenesisに焦点をあてた術後の認知機能障害の発症機序と予防法の解明
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26462350
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山下 創一郎 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10455933)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経新生 / 術後高次機能障害 / 手術 / 全身麻酔 / 海馬歯状回 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の実験では、腹部手術7日後のラットの海馬歯状回のsubglanulat zone(SGZ)におけるdoublecortin(DCX)抗体陽性細胞数を調べ、手術侵襲が海馬における神経新生(Neurogenesis)に影響を与えることを示唆する実験結果を得た。 その結果を受けて、今年度は手術侵襲のが学習記憶障害に与える影響について調べた。3か月ラットを腹部手術群、全身麻酔群、コントロール群の3群に分け、腹部手術群では開腹手術を行い、全身麻酔群では全身麻酔15分のみを行った。5日後よりMorris water mazeを施行。5日間のtraining phaseの後、probe trialを行ったところ、腹部手術群が他の2群に比べて、隠されたプラットフォームまでの到達時間がtraining phaseの3日目、4日目で長かった。Probe trialはプラットフォームをどかしてラットがその周辺領域をどの程度泳ぐかを調べるものであるが、これは3群で差はなかった。 以上の結果から、3か月ラットにおいて、腹部手術はMorris water mazeにおいて隠されたプラットフォームの位置を周囲の景色から判断できるようになる学習記憶能力を低下させることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は行動試験にY maze spontaneous alterationを予定していたが差が出ず、novel recognition testに変えたところ、それでも差がでなかったため研究の進捗に遅れがでている。最終的に、神経新生(neurogenesis)は学習や遊ぶ環境がある中で過ごすと増加することから、隠されたプラットフォームの位置を周囲の景色から判断できるようになる学習記憶能力を調べるMorris water mazeに変えたところ差がでた。
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Strategy for Future Research Activity |
手術侵襲が神経新生(Neurogenesis)と学習記憶障害に与える影響に関する結果がようやく出そろったので、現在プロコールに基づく本試験を実施中である。今後はフルオキセチンなどの術前内服の効果などを順次実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度はほとんどの時間を行動試験に費やし、組織学的な実験をほとんど行わなかったので、抗体や試薬などをあまり購入しなかった
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は組織学的な実験を行うため、それに必要な抗体や試薬を購入する予定である。
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