2015 Fiscal Year Research-status Report
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26462356
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
栗田 忠代士 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (80303569)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | βブロッカー / 脳酸素化 / 血液希釈 / 脳梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は当初予定していた、ブタをイソフルラン麻酔下に頭頂部にNIROを装着、ランジオロールを200μg/kg/min投与下に、循環血液量66 %の血液希釈を起させ、この状態から段階的に輸血をして酸素化の回復を調べた。 <動物準備>体重約25kgのブタを12匹用いた。イソフルラン吸入により麻酔を導入し、気管切開、人工呼吸下にイソフルランを呼気終末濃度2%で実験終了まで維持した。大腿動脈に観血的動脈圧ライン、右内頚静脈に肺動脈カテーテルおよび中心静脈ダブルルーメンカテーテルを留置した。近赤外分光法組織酸素モニターNIRO-200を動物準備完了と同時に左右の頭頂部に装着し、実験終了まで組織酸素化指標(tissue oxygenation index: TOI)を記録した。 <実験手順>1匹のブタに血液希釈前、循環血液量66%血液希釈時の2つの病態を順番に作成し、それぞれの病態においてランジオロールを200μg/kg/min投与した。血液希釈の作成は総循環血液量を体重25 kg×70 = 1750 mlと算定し、約66 %に相当する1200 mlを中心静脈ルートより脱血し等量のヘスパンダ―で置換した(一度に1200ml脱血するとブタが死亡するため、600ml脱血後600mlのヘスパンダ―投与、これを2回繰り返し作成、脱血した血液は輸血のため使用した)。その後、20毎200ml脱血し200mlずつ輸血して、血液のヘモグロビン値を段階的に上げ、TOIの変化を観察した。 <実験結果>26年度の結果と同じようにランジオロール200μg/kg/min投与下の循環血液量66 %の血液希釈は大きく脳のTOIを減少させた(投与前の約10%減少)。200mlずつの輸血はTOIを段階的に上昇させた。この結果はβブロッカー投与患者が周術期に大量出血が起こった場合、早めの輸血療法が脳の酸素化を改善し脳梗塞予防に効果がある可能性を示唆するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度、27年度ともに予定されていた実験が施行できており、予定どおりの達成度であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年の28年度は短時間作用性β遮断薬の腹部重要臓器の酸素化への影響について検証してみる。 初年度26年度と同じプロトコールを用いて、脳の代わりに肝と腎の酸素化の変化をみる。ブタをイソフルラン麻酔下に肝および腎を露出し、表面にNIROを装着する。脳でみられたようにランジオロールの用量や血液希釈の程度に依存して酸素化が変化するか調べる。
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Causes of Carryover |
実験に使用する動物を含め、薬品や器材を計画的に購入したが少し残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今までと同じように、実験で必要な動物、薬品、器材に使用する予定である。
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