2015 Fiscal Year Research-status Report
定常流型補助人工心臓装着後の急性腎傷害の早期発見ー新指標の開発ー
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26462358
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井口 直也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招へい教員 (00372623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 裕士 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50252672)
内山 昭則 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00324856)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腎臓超音波検査 / 定常流型補助人工心臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の報告書で述べたようにコントラスト剤を用いずにコントラストエコーと同等に微小血管を描出できる新しい技術を用いることとした。本方法は副作用の心配がほぼない。 本年度は測定系を確立し、カラードップラーモードのカラー部分の面積の計測法も確立した。当院倫理委員会で承認を得た後(承認番号12407)、定常流型補助人工心臓患者の腎機能評価を腎臓超音波検査を用いて行った。4人の患者で19ポイントのデータを得た。測定項目は葉間動脈の血流速度と腎臓全体を対象領域とした血流部分のカラー画素数の割合とし、腎臓超音波検査による測定値と腎臓超音波検査日と腎臓超音波検査2日後の血清クレアチン値の相関を検討項目とした。新しい技術を用いて末梢血管を捉え、測定することは可能であった。心電図上の収縮末期、拡張末期それぞれにおいて葉間動脈の血流流速の平均値(cm/秒)は16.5±5.7、11.1±4.2、腎臓全体を対象領域とした血流部分のカラー画素数の割合(%)は17.4±4.6、10.9±3.1であった。両項目とも血清クレアチンとの相関は認めなかった。原因としては腎機能評価に血清クレアチンを用いるしかないのが現状である事や、血行動態に影響を与える多数の交絡因子の存在が考えられた。本内容は既に国内学会発表を行った。急性腎傷害の早期発見、およびその経過における腎機能回復程度の評価に有用である可能性がある症例を経験しており、腎経過との関連性も検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象患者の症例数が限られ、対象患者の手術は緊急手術である事も多い。そのため腎臓超音波検査施行のタイミングが難しく、安定した測定を行うのに苦労するのが理由のひとつである。また本患者群は様々な治療介入が行われ、交絡因子も多く、結果の解釈に時間を要した。研究目的1-4のうちの2と3は行えているが、1と4は取り組めていない。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の今後の研究の推進方策で述べたことは達成した。測定系を確立し、実際に測定は可能であった。課題は交絡因子の多さと、腎機能評価のスタンダードがクレアチニン値であるということである。今後は腎臓超音波での測定項目のさらなる検討と、他の因子の検討で交絡因子を可能な限り排除し、血清クレアチン値以外のパラメータ(糸球体濾過量等)との比較も行い、急性腎傷害の早期発見、新規エコー指標の確立を目指す。補助人工心臓装着前後での微小循環の変化(拍動流から無拍動流へ)も取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
侵襲がほぼなく、同等の検査ができる技術が登場した。患者の安全を最優先し、この新しい技術を用いることにしたために使用額が少なくなった。国際共同研究を計画中であるため、それに伴う費用の割合が増加している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究結果を内外に発表する必要があり、また国際共同研究となった場合はそれに関連する費用の増加が予測される。
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Research Products
(2 results)