2016 Fiscal Year Annual Research Report
MEK1阻害薬のくも膜下出血後脳血管攣縮および認知機能障害に対する治療効果の検証
Project/Area Number |
26462359
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐々木 俊弘 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40509436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 求 岡山大学, 大学病院, 講師 (00457219)
森松 博史 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30379797)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | くも膜下出血 / ケルセチン / pERK1/2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、くも膜下出血(以下SAH)後の脳血管攣縮の原因の一つに MEK-ERK 経路の活性化が関与していることに着目し、ERK1/2 抑制作用を有する天然フラボノイドのケルセチンの投与がSAH後の脳血管攣縮を予防するかを、ラットSAHモデルを用いて検証した。 ラットSAHモデルの作成:SDラットを用いた。全身麻酔、人工呼吸下で脳定位固定装置に固定し、bregmaより前方6.5mmにスパイラル針を挿入後、SAH群には自己動脈血(450μl)を投与した。Sham群には同量の生理食塩水を投与した。ラットSAHモデルの死亡率は約20%であり、モデルとしては問題なかった。 SAH発症後48時間後のケルセチンによるERK1/2抑制効果の評価:①SAH後60分にケルセチン(50mg/kg/day)を投与した。ランダムにVehicle 群、Sham群も作成。②SAH発症48時間後の深麻酔下にラットを還流固定した。③HE染色法を用いた脳血管攣縮に対する効果には優位差を認めなかった。続いて免疫染色法を用いて、脳動脈血管壁におけるpERK1/2の発現を観察したが、ケルセチンのERK1/2抑制効果も優位差を認めなかった。 本年度はウェスタンブロット法を用いて、pERK1/2の発現を観察した。最初は還流掖で固定したサンプルを用いて前頭前野のpERK1/2を定量したが、結果が安定しなかったため、サンプリングまでの時間を短縮する目的で還流を省いて測定したが結果は大きく変化無かった。そのため、以降は手技が簡単な還流をしない方法で実験を行なった。手技を変えたが、前頭前野で優位差を認めなかった。更に、海馬、大脳皮質、小脳についても同様に定量を行なったか優位差を認めなかった。 ラットSAHモデルにおいて、SAH発症後60分でのケルセチン投与は、pERK1/2の抑制効果、脳血管攣縮の予防効果は認めなかった。
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