2016 Fiscal Year Research-status Report
亜硝酸塩と新規代用血漿剤を用いた出血性ショックに対する新たな治療戦略の開発
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26462367
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
平田 直之 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00438045)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 周術期管理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において臓器保護効果を有する亜硝酸塩濃度の検討を行い、1mg/kgが有用であることを確認した。この濃度は、出血性ショックのみならず、敗血症性ショックにおいても有効であった。本濃度は、臨床使用濃度であり有害な作用がないことから、臨床への応用が期待される。 新規代用血漿材である中分子HES製剤の出血性ショックに対する臓器保護効果を確認し、近年、HES製剤において問題となっている腎機能障害が急性出血性ショックモデルにおいてほとんど生じていないことをミトコンドリア解析により明らかにした。HES製剤は敗血症ショックにおいては腎機能障害を危惧し、その有用性が疑問視され、出血性ショックにおいても同様の解釈がなされることが多い。本研究は、敗血症性ショックと出血性ショックの病態及びHES製剤の効果が異なることを示し、ショックでも病態に応じた治療戦略が必要であることを示唆しており今後の臨床研究が期待される。さらに代用血漿材として広く使用されているアルブミン製剤との比較において、中分子HES製剤はアルブミンと比較して非劣性であることに加え、アルブミンよりも蘇生後の血液流動性が維持され出血性ショックではより有用である可能性を示した。上記について論文作成を行い現在投稿中である。現在、臓器保護効果を有する亜硝酸塩と中分子HES製剤の組み合わせによるより効果的な蘇生補液について研究を継続しており概ね良好な結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、亜硝酸塩とHES製剤の組み合わせによる新たな蘇生補液効果について2017年度内に報告する予定であったが、HES製剤とアルブミンの比較に関する研究論文において追加実験などが必要となり、予定よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている、亜硝酸塩とHES製剤を組み合わせた新たな蘇生補液の臓器保護について研究を継続する。今年度初頭には完遂できる予定である。すでに行った亜硝酸塩、及びHES製剤、それぞれの出血性ショックに対する有用性に関する報告と合わせて、学会発表、論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
研究がやや遅延し、研究の遂行及び論文作成に使用する予定の経費を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究遂行後、論文作成を行い英文校正等へ使用する予定である。
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