2016 Fiscal Year Research-status Report
術後回復を促進し合併症軽減を可能にする新しい周術期抗酸化ストレス治療戦略の確立
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26462371
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
土屋 正彦 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (80253350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 英介 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (60211942)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 手術侵襲 / 活性酸素 / 術後合併症 / 術後回復 / 区域麻酔法 / 麻酔管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】手術は病気を治療するために行うものであるが、同時に大きな侵襲が生体に生じる。手術成績の向上を図るためには、この手術侵襲を低減することが大きな課題である。しかし、手術侵襲が何であるか、その本体の解明が進んでおらず、その結果、手術侵襲を適切に評価する方法も確立されていない。そのため、多くの場合、個々の経験に基づき個別の対策がとられているのが実情である。近年、手術侵襲の原因の一つに活性酸素による組織障害があることが明らかにされ、手術により、生体がどのくらい活性酸素ストレスを受けたかを評価することで、手術侵襲の大きさを評価することが出来る可能性が指摘されている。 【目的】今回の研究は、基礎研究と臨床研究の双方から、主に活性酸素障害の側面から手術侵襲の本体に迫り、その軽減方法を検討することを目的としている。 【結果・結論】本研究の結果、手術前の患者の活性酸素病態が手術侵襲を決定する重要な因子の一つであることが明らかとなった。しかも、その病態が、術後の回復過程を左右し、さらには合併症の発症を左右する事が示された。また、麻酔管理により酸化ストレスを軽減する事で、術後の回復過程を促進し、合併症の発症も予防できる可能性が明らかになった。一方で、区域麻酔法を全身麻酔に併用する事により、手術中の循環系が安定化し、より良い術後鎮痛が得られ、早期回復が促進される事も明らかにした。以上の結果は、麻酔法の工夫が、手術侵襲の軽減に有用であり、術後回復を促進できる事を示している。 【今後の研究の展開】麻酔管理を中心としたより良い周術期管理法を確立し、手術をより安全に受け、かつ手術からのいっそうの早期回復を実現する治療法の確立を目指していく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床研究は比較的順調に進んだが、それを補完するべき基礎研究が遅れている。手術侵襲の良いモデルの構築に時間がかかったためと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
大変素晴らしい臨床研究データが得られたので、その裏打ちとなる基礎研究を進めていきたい。特に、手術侵襲が酸化ストレスと相関するのであれば、そのコントロールによって手術侵襲を軽減できるはずである。その治療法についての研究をさらに進めていきたい。
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Causes of Carryover |
十分な研究時間を作ることができず、予定通りに行うことができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今まで蓄積したデータを元に、次年度で一定のまとまった成果をまとめ上げる計画である。そのために、学会や論文作成にも予算を使用する計画である。
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Research Products
(3 results)