2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26462383
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
長谷川 麻衣子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (20516637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑木 共之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80205260)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | TRPA1 / 術後痛 / 炎症 / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
TRPA1欠損マウスを用いて術後痛モデルを作成し、(1)好中球遊走(2)マクロファージ極性制御に対するTRPA1の役割を検討した。TRPA1欠損マウスでは野生型と比較して、術後創部の好中球浸潤が有意に減少していた。マクロファージ総数には差はみられなかったもののM1/M2への極性変化はともに減少していた。我々は近年好中球のマクロファージによる貪食が極性変化を促進していることを報告しており(Saito et al. Anesthesiology 2015)、TRPA1欠損による好中球遊走の減少がマクロファージの極性変化を抑制したものと考える。極性制御に関与する因子であるHIF-1a、HO-1、LO-15等の遺伝子変化を解析したところ、TRPA1欠損マウスでは術後2日目のHO-1誘導が減少していた。M2マクロファージの誘導が抑制されていたことから創傷治癒の遅延を予測したもののTGFbetaやcollagenの誘導はむしろ増加しており、今後のさらなる検討が必要であると考えた。また組織学的解析では創部のコラーゲン産生量に明らかな差はみられなかった。また術後痛モデルとして皮膚、筋膜切開法を用いており、創傷治癒経過の検討には異なるモデル作成が必要と考える。TRPA1は感覚神経終末のみでなく、マクロファージにも機能的に発現していることが近年報告されたがその作用は不明である。TRPM7はマクロファージに発現し極性制御に関与していることが報告されている。そのため、神経終末のTRPA1を介した痛み・炎症の制御以外の別のメカニズムが関与している可能性があり、次年度に解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画であるマクロファージ極性変化、機能的変化の評価に関する実験は概ね研究結果を得ている。創傷治癒の評価に関しては、モデル変更やcollagen産生以外の評価法の検討が組織学的・遺伝子誘導の検討上ともに必要と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の用いた術後痛モデルは野生型とTRPA1欠損マウスの機械的刺激に対する疼痛閾値に差はみられなかった。 deep incision法ではなく野生型においてもNGFが誘導されなかったため、TRPA1がNGF誘導に関与している可能性を検討するために、モデル変更を必要とすると考える。 また創傷治癒の検討に関してもモデル変更が必要である。 マクロファージ上のTRPA1の作用を検討するため、TRPA1アゴニストを用いてマクロファージの機能変化をex vivoで解析する予定である。
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Causes of Carryover |
当施設の耐震工事により、研究代表者の実験が中断したためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
免疫組織染色、定量PCRに必要な消耗品の購入を予定している。
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Research Products
(4 results)