2015 Fiscal Year Research-status Report
DSGb5糖鎖は、泌尿器癌バイオマーカーになり得るか?
Project/Area Number |
26462394
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 信 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (70282134)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 明宏 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70344661)
三塚 浩二 東北大学, 大学病院, 講師 (80568171)
川崎 芳英 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80722256)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 糖鎖抗原 / 泌尿器癌 / DSGb5 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎癌には、早期発見や根治治療後の治療経過を反映するような腫瘍マーカーはなく、画像診断でしか評価できないため、診断から根治治療後の治療効果を反映するような腫瘍マーカーの開発が望まれている現状である。糖鎖抗原DSGb5は、腎癌組織から抽出され同定された糖脂質糖鎖抗原であるが、腎癌組織での発現が転移に関連していることを示唆する知見が得られ、腎癌細胞を用いた研究では、 NK細胞の細胞障害活性を抑制する働きから免疫系を介して腎癌の悪性化に関与しているものと考えられている。 さらなる解析の結果、糖鎖抗原DSGb5は、腎癌の細胞運動能を亢進することを認めて、論文発表するに至った。(2015年 Tohoku J Exp medicine) 申請者らの作成した糖鎖抗原DSGb5に対するモノクローナル抗体5F3を用いて、今回、腎癌摘出標本ホルマリン固定パラフィンブロック切片に対する免疫染色行った。本抗体を用いた腎癌組織に対する免疫染色は、これまで凍結切片を用いたものを行っており、ホルマリン固定パラフィンブロックに対する免疫染色は、行われていなかったが、本年度の研究により、ホルマリン固定パラフィンブロックに対する免疫染色において、安定した再現性のある染色方法を確立することができた。 その結果、正常腎組織では、これまでの凍結切片組織で染色性が確認された近位尿細管細胞に加えて、集合管細胞でも発現していることが確認された。根治的腎摘除術を施行された患者や、腎部分切除術を施行された患者など、多数例の腎癌患者を対象として免疫染色を施行したところ、腎摘標本での病理学的パラメーターの中で脈管侵襲と相関する知見が得られた。現在、腎摘後の転移や予後との関連について、詳細に検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腎癌摘出標本ホルマリン固定パラフィンブロック切片に対する免疫染色行い、腎摘標本での病理学的パラメーターの中で脈管侵襲と相関する知見が得られた。現在、腎摘後の転移や予後との関連について、詳細に検討中である。 さらなる解析の結果、糖鎖抗原DSGb5は、腎癌の細胞運動能を亢進することを認めて、論文発表するに至った。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、腎癌に対して根治的腎摘除術を施行した患者や、部分切除術を施行した患者など多数例の患者を対象として、腎癌手術後の転移や再発など予後との関連について検討していく。
|
Causes of Carryover |
本年度の研究により、ホルマリン固定パラフィンブロックに対する免疫染色において、安定した再現性のある染色方法を確立することができたが、当初の予定使用額よりも使用額が少ないために次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は、根治的腎摘除術を施行された患者や、腎部分切除術を施行された患者など、多数例の腎癌患者を対象として、腎摘標本での病理学的パラメーターとの関連や、腎摘後の転移や再発などの臨床像との関連について、詳細に検討していくので、平成28年度の請求額と合わせて、使用していく。
|