2014 Fiscal Year Research-status Report
泌尿器科癌におけるZFHX3/ATBF1の機能解析と分子標的治療への応用
Project/Area Number |
26462396
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
冨田 善彦 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90237123)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ZFHX3/ATBF1 / 腎細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ZFHX3/ATBF1は最初にαフェトプロテイン(AFP)遺伝子の発現を抑制する巨大分子として同定された。その生理的機能は主に細胞を分化させることであり、その機能の低下は細胞自体の脱分化につながると考えられる。ZFHX3/ATBF1の機能の消失・減衰はより高い浸潤能や転移能の獲得に関係していることが胃癌等で明らかになってきている。本研究では、泌尿器科癌のなかで腎細胞癌に着目し、ZFHX3/ATBF1の発現とその臨床的意義を臨床検体を用いて検討した。腎細胞癌の切除標本110検体に対し免疫組織学的検討を加えた。これらの検体は遠隔臓器やリンパ節に転移を認めない症例であった。101例中14例(12.7%)で発現の減弱が見られた。この減弱は、Western blot法による蛋白レベルやreal time PCRによるmRNAレベルでも確認できた。臨床病理学的因子との解析ではZFHX3/ATBF1の減弱はT分類で3b以上(p=0.000391)、組織学的に浸潤形式が悪性のもの(β)(P=0.00291)、また静脈内浸潤を示す例で高率に認められた(p=0.000014)。さらに、生存期間との関係を検討すると減弱を認めた症例では全生存期間(p=0.009)および無進行生存期間(P=0.0004)が統計学的に有意に短かった。以上より、ZFHX3/ATBF1の減弱は腎細胞癌の悪性度獲得に深く関与していることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床検体を用いた解析が終了し、培養細胞を用いた検討を開始しており、おおむね順調と考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従って、現在進行中の培養細胞を用いた検討を進め、ZFHX3/ATBF1の機能解析を進めていく。
|
Causes of Carryover |
物品購入等の納品検収は平成26年度内に完了したが、支払いが4月となり次年度となったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品購入等の納品検収は当該年度に完了し、4月に支払いが完了している。
|