2015 Fiscal Year Research-status Report
精巣腫瘍の組織分化におけるエピジェネティクス制御の解明
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26462398
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
河合 弘二 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90272195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末富 崇弘 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10574650)
西山 博之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20324642)
市岡 大士 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (20712813) [Withdrawn]
常樂 晃 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60436277)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 精巣腫瘍 / メチル化異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)6種類の胚細胞腫瘍細胞株におけるDNMT3Lタンパクの発現解析 ウェスタンブロットによるタンパク発現解析において、精巣由来胎児性癌細胞株であるNEC8細胞、NEC14細胞、胎盤由来絨毛癌JEG-3細胞では発現が認められたが、胎児性癌でNT2細胞、NCCIT細胞、奇形腫細胞株Hs 38.T細胞では発現が認められなかった。 (2)DNMT3Lの発現抑制が分化ステータスに与える影響 組織型によりDNMT3Lの発現が異なることが明らかになった。セミノーマ、胎児性癌は多分化能を持ち、一方で奇形腫は高分化であり、組織型により分化ステータスが異なることがわかっているが、DNMT3Lが分化に関与しているかどうか検討するために、RNAi法を用いて、DNMT3Lを抑制したNEC8細胞を作成した。そして、組織型の特有の分子マーカーの遺伝子発現を解析し、DNMT3Lの発現抑制が分化ステータスに与える影響を検討した。DNMT3LはRNAiによってタンパクレベルで73.8%の抑制効果が得られた。セミノーマ、胎児性癌に高発現する多分化能マーカーであるNANOG、胎児性癌に特異的に高発現するSOX2、非セミノーママーカーであるAFPのmRNA発現レベルをDNMT3L発現抑制NEC8細胞とコントロールとを比較したが、発現量の差を認めなかった。また、精巣腫瘍においてメチル化が報告されている癌関連遺伝子についても同様に検討を行った。HIC1、RASSF1A、SCGB3A1はNEC8細胞において発現が低値であり解析できなかった。APC、BRCA1、MGMTはDNMT3Lの発現抑制による有意な発現量の変化は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞レベルで精巣腫瘍の分化や悪性化におけるDNMT3Lの発現の意義を十分に明らかにするまでは及ばなかった。胚細胞腫瘍細胞株の扱いに慣れるのに時間がかかり、細胞によっては非常に剥離しやすく、増殖が一定でなく止まることが度々あるなど、各々の実験の条件検討に困難をきたした。
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Strategy for Future Research Activity |
胎児性癌細胞株はレチノイン酸やhexamethylene bisacetamide (HMBA)で処理することにより分化することが知られている。この分化モデルや、in vitro でDNMT3Lおよびエピジェネティクス関連分子の過剰発現細胞を用いて、経時的に分化や悪性化に関わる分子の発現検討や細胞形態を観察することにより、今回明らかにできなかった精巣腫瘍の発生と分化、難治化におけるDNMT3Lの機能についての理解が進む可能性があり、今後行う予定である。
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