2015 Fiscal Year Research-status Report
腎細胞癌の発生と肉腫様変化におけるRAC2-VAV1シグナルの役割
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26462399
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小島 崇宏 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40626892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 淳 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10550246)
末富 崇弘 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10574650)
西山 博之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20324642)
神鳥 周也 筑波大学, 医学医療系, 助教 (50707825)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の腎癌組織でのRAC2発現の検討(定量PCR,免疫染色)では、リンパ球ばかりでなく腎がん組織自体にもRAC2が発現していることを明らかとした。そこで本年度は腎がん細胞株での発現を検討し、その機能的役割について検討を行った。 腎がん細胞株5株(SN12C,SMRC59,SKRC52,SKRC1,ACHN)におけるRac2のmRNA発現を定量PCR法にて検討した。陽性細胞株はT細胞リンパ腫のJurkat株を用いた。293Tと比べ、腎がん細胞株では多くの細胞株において発現は亢進していることが明らかとなった。 次に、腎がん細胞株skrc1, skrc59, SN12Cを用いてsiRNAにてRac2の発現を抑制し、細胞増殖への影響を検討した。siRNAには配列の異なる3種類を用いて行った。これらのsiRNAによって、RAC2のmRNA発現がコントロールの10%以下に低下することを定量PCRにて確認した。WST-8アッセイにて細胞増殖を検討したところ、コントロールのsiRNAに比べて3種類すべてのsiRNAによって細胞増殖が有意に低下した。さらに創傷治癒アッセイによって遊走能への影響を検討したところ、3種類のsiRNAすべてにおけるRac2抑制にてコントロールsiRNAと比べて、有意に遊走能が低下することが明らかとなった。以上から、RAC2は腎細胞癌における細胞増殖や浸潤能の獲得に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年の検討より肉腫様腎がんでのRac2の有意な発現亢進は確認されなかったことより、淡明型腎癌における役割の検討をおこなったが、Rac2により増殖や遊走能を亢進している可能性を明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
1)in vitro Rac2の強制発現系を用いた検証を行う。Rac2の抑制または強制発現によるRAC活性への影響を検討する。PAKやAKTなどRac2の下流のシグナルの影響を調べる。 2)in vivo マウス皮下腫瘍モデルにより、RAC阻害剤を用いて、RAC2が新たな治療標的になり得るか検証する。
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