2015 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌骨転移微小環境におけるCCL2を介した癌細胞増殖・浸潤機構の解明
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26462405
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
成本 一隆 金沢大学, 大学病院, 助教 (50645207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝上 敦 金沢大学, 医学系, 准教授 (50248580)
泉 浩二 金沢大学, 医学系, 助教 (80646787)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 骨転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、前立腺癌細胞の浸潤・転移能獲得過程においてはTGF-β1とCCL2が重要な役割を果たしている可能性を明らかにした。引き続いて前立腺癌骨転移微小環境でのTGF-β1とCCL2の役割を明らかにすることとした。ヒトの手術検体から得られた骨組織から初期培養し得られた骨間質細胞がTGF-β1を分泌することは以前報告したが、今回はこれらの骨間質細胞と、ヒト骨芽細胞様細胞株SaOS2が持続してTGF-β1を分泌することが可能か検証した。すなわち、前立腺癌骨転移微小環境において、これら骨由来細胞と前立腺癌細胞が接触している状態で、前立腺癌細胞が持続的にTGF-β1にさらされうるかという点を調べた。ELISAを用いて調べた結果、24時間後よりも48時間後が有意にTGF-β1の培養上清中の濃度が上昇していた。次に、様々な条件で前立腺癌細胞にTGF-β1やCCL2を添加し、その分子細胞学的な変化を観察した。前立腺癌細胞はSaOS2と共培養すると、TGF-β1の発現が亢進したが、CCL2は変化がなかった。一方、TGF-β1を加えるとCCL2の発現が軽度上昇した。TGF-β1とSaOS2それぞれ前立腺癌細胞に加えると、CCL2の特異的受容体CCR2の発現が亢進し、両方同時に加えると相加的に発現が亢進した。現在、これらの変化が次に何をもたらすのかを明らかにしている過程であるが、いくつかのケモカインの発現亢進が認められており、どのケモカインが表現型の変化に重要な役割を果たしているかを明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の予定を100%とした場合、65%程度と考えられる。in vitroの実験の80%が終了した段階であり、今後in vitroの実験の残りと、in vivo、ヒト組織を予定している。予定されていた実験の中で、大筋の実験の流れは順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前立腺癌細胞にTGF-β1とCCL2を添加した上で、さらにSaOS2(あるいは骨間質細胞)と共培養を行い、発現変化が認められるケモカイン等を特定する。それらの受容体の変化とともに、前立腺癌細胞に直接そのケモカインを添加することで、浸潤・転移能が変化するかを確認する。また、下流側としては、AktやErkなどのリン酸化が認められるかどうかを明らかにしたい。さらにヒト組織を用いた免疫組織学的な検討と、マウスを用いたin vivoの実験も行う予定である。
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Causes of Carryover |
特定のケモカインを複数購入し用いる予定であったが、その段階まで到達しなかったため多少の残額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでにキーとなる分子はほぼ特定できており、次年度に購入することになると考えている。さらに細胞株を絞って、より深くメカニズムをあきらかにするため、抗体を追加して購入する費用に充てる予定である。
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