2014 Fiscal Year Research-status Report
膀胱癌に対するBCG膀注療法における制御性T細胞の意義と治療応用
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26462409
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
成田 充弘 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (00263046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 英紀 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40555067)
影山 進 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50378452)
吉貴 達寛 滋賀医科大学, 医学部, 客員教授 (80230704)
河内 明宏 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90240952)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / 膀胱癌 / BCG |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト膀胱癌における制御性T細胞の意義を調べるため、膀胱癌に対する膀胱全摘標本のパラフィン切片を用いて、制御性T細胞(Treg)のマーカーであるFoxP3の免疫染色を行い、臨床病期との比較検討をおこなった。症例によりばらつきはあるものの腫瘍組織周囲にはFoxP3陽性のT細胞がみられ、特に臨床病期の進んだ症例の方がTregの出現数が多い傾向であった。今後さらに症例を増やして検討する予定である。 動物を用いた検討では、まずラット膀胱癌モデルを作成した。Fisher344系ラットの膀胱内に、ラット膀胱癌の細胞株であるAY-27細胞 2.0×10 6乗個を膀胱内へ注入して膀胱癌モデルを作成し、小動物用内視鏡を用いて腫瘍の生着を確認した。2週間後の腫瘍生着率は約80%であったが、長期経過後では腫瘍が拒絶されるケースがあり、6週間後の生着率は33%であった。他の正所性担癌モデルとしてN-Butyl-N-nitrosamine (BBN)内服による発がんモデルがあるため、今後はこちらのモデルでも検討していく予定としている。 また今後Treg除去カラムを使用する体外循環治療を行うにあたって、膀胱癌担癌ラット内での腫瘍免疫担当細胞の発現形態を評価した。免疫抑制性細胞の発現に関して、AY-27細胞を膀胱注入したラットの血液中のTregをflow cytometryを用いてCD4+CD25+Foxp3+T細胞の発現率でモニタリングしている。抗腫瘍免疫の評価では腫瘍特異的なcytoxicic T cellを評価するため、ELISPOT法を用いて担癌ラットの血液、脾臓細胞に腫瘍抗原刺激を与えるとIFNγの産生が増加することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床検体を用いた検討では、膀胱癌組織中の制御性T細胞の存在を確認できたが今のところ症例数が限られている。筋層非浸潤膀胱癌に対するBCG膀胱注入治療中の制御性免疫細胞の挙動を検討するための、治療施行中の検体採取が開始できておらず、今後開始する予定としている。 動物実験においては癌モデルの作成に時間を要したため、制御性T細胞除去カラムを用いた体外循環を併用したBCG膀胱注入治療実験は開始できず、各種の予備検討を行うにとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
筋層非浸潤性膀胱癌に対するBCG膀胱注入治療中におけるTregの挙動を検証するため、治療中経過中の血液、尿を採取することを開始する。検体はフローサイトメーターを用いて各免疫担当細胞の発現率を求めて臨床経過との対比を行い、BCG膀胱注入治療におけるバイオマーカーとしての意義を検討する。また、過去に採取された膀胱癌組織のパラフィン切片に対して、FoxP3だけでなくその他の制御性免疫細胞の評価も行うことする。具体的には免疫抑制性サイトカインであるTGFβ陽性細胞のマーカーとなるlatency associated peptide(LAP)や、免疫抑制性のマクロファージであるとされるM2マクロファージのマーカーであるCD163等に対しても免疫染色を行い、予後との比較検討を行う。 動物実験では、膀胱癌モデルラットの発現経過とBCG膀胱注入治療中で体内に出現する制御性免疫細胞のモニタリングを継続して行う必要がある。小動物内視鏡で膀胱内を定期的に観察し、膀胱癌の生着が見られた際にBCG膀胱注入治療を行い、Foxp3陽性細胞、LAP陽性細胞、血漿中のTGFβをモニタリングする。また、Treg除去カラムを用いた体外循環による治療効果の評価のため、担癌ラットの血液をカラムで処理し、免疫抑制性細胞の陽性率やTGFβ濃度の変化を確認すること、腫瘍抗原に対するCTLの活性の変化を検討することとする。
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Causes of Carryover |
膀胱発癌モデルまたは癌移植動物の成功率が低く,予定数の個体を大きく下回った使用個体数であったため,未使用研究費が残ったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
担癌モデル作製が安定してきており,今後は実験予定の遅延を回復する予定である.
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