2015 Fiscal Year Research-status Report
去勢抵抗性前立腺癌における上皮間葉転換の制御機構の解明と標的治療への応用
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26462412
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村蒔 基次 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10448178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 秀明 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (60379435)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌における上皮間葉転換(Epithelial-Mesenchymal Transition; EMT)は、癌細胞に浸潤・転移能をもたらす主要な機構の1つと考えられており、E-cadherinの低下とN-cadherinの発現亢進で特徴づけられることがある。我々は尿路上皮癌臨床検体においてE-cadherinの低下とN-cadherinの発現亢進が独立した予後予測因子であることを報告してきた。本研究の目的は、前立腺癌におけるEMTの意義を検討し、その制御機構ならびに去勢抵抗性前立腺癌の標的治療の可能性について検討することである。前年までの研究の一部において、限局性前立腺癌に対し根治目的に全摘除を実施した200例に対して免疫組織学的検討を行った結果、E-cadherinは独立した予後予測因子であったが、N-cadherinは予後予測因子とは認められなかった。当院で局所治療または全身治療後に去勢抵抗性前立腺癌となり、研究に同意された20例弱の前立腺生検検体について免疫組織学的検討を行った。前年度までに実施できなかった数種類の蛋白を認識する抗体を入手し得たので、今年度は前年までのデータに新たな免疫組織学的染色の結果を加えて検討したところ、去勢抵抗性前立腺癌においてhistrical controlと比べて有意にN-cadherinおよびTwistの発現亢進が認められ、独立した予後予測因子であることが確認された。前年度に高感度CTC検出システムを用いた去勢抵抗性前立腺癌患者におけるCTC検出を行い、30例中1症例中にCTCを検出しえた。今年度はさらなる感度上昇と検出標的物質の増加を狙い、システムの最適化を最優先に行ったが、満足した結果が得られず断念した。前述の免疫組織学的染色の結果からN-cadherinが前立腺癌細胞のEMT化に重要な役割を持つことが示唆されたため、今年は当教室で樹立したN-cadherin発現ベクターを用いてLNCap細胞に遺伝子導入を行った。現在は樹立した細胞株について解析を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に高感度CTC検出システムを用いた去勢抵抗性前立腺癌患者におけるCTC検出を行い、30例中1症例中にCTCを検出しえた。今年度はさらなる感度上昇と検出標的物質の増加を狙い、システムの最適化を最優先に行ったが、満足した結果が得られず断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫組織学的染色の結果からN-cadherinが前立腺癌細胞のEMT化に重要な役割を持つことが示唆されたため、今年は当教室で樹立したN-cadherin発現ベクターを用いてLNCap細胞に遺伝子導入を行った。現在は樹立した細胞株について解析を進めているところである。in vitro実験系での結果が有意義出会った場合に、in vivo実験系に進む計画である。CTC検出システムの感度最適化が不調に終わった原因の1つとして、臨床サンプルの総数が十分でなかったことが上げられるため、in vivo実験系で得られたマウス血液サンプルを用いてCTC検出システムについて再度研究を進める予定である。
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