2015 Fiscal Year Research-status Report
腎癌におけるFHがん抑制遺伝子解析とメタボロミクスによるエネルギー代謝異常解析
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26462426
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
釜井 隆男 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80316562)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腎癌 / FH遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度において、FH遺伝子のexon1-9のプライマーを作製しHLRCCの家系に属する1症例より採取した血液と手術により摘出された組織よりDNAを抽出し、Ion PGM Systemを用いて、シークエンス及び解析を行うことにより血液と組織に共通する変異が検出された。 癌細胞ではエネルギーの供給源が酸素からブドウ糖へと変異しており、Warburg効果として有名である。近年、ミトコンドリア内でのエネルギ産生異常と癌との関連が報告され、Krebs回路を担うFHやSDH等の遺伝子異常と癌との関連性に注目が集まっている。FHの異常が腎細胞癌の発症にどのような役割を演じているのか解明されていないが、転写因子であるNrf2のシグナル異常が関与しているとの報告もあり、Keap1-Nrf2システムも注目されている。平成27年度においては、Ion Ampliseq Designerを用いてFH遺伝子exon1-9のプライマーに加えSDHA、SDHB、SDHC、SDHD遺伝子、さらにNRF2遺伝子、KEAP1遺伝子、RET遺伝子、VHL遺伝子に対するプライマープールを作製した。腎癌症例12例、褐色細胞腫10例を対象として血液と組織よりDNAを抽出し、Ion PGM Systemを用いてマルチプレックスPCRを行った。得られたシークエンスデータをVariant caller(v5.0.2.1)とIGVを用いて突然変異、過剰発現、LOH等について解析した。さらに個々の患者で得られた血液と組織検体での解析データの相関についても検討した。 淡明細胞癌とその他の組織型(非淡明細胞癌)に分けて、異型度、pT stage、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無、静脈浸潤の有無等の腫瘍因子と、FHがん抑制遺伝子の異常およびエネルギー代謝関連遺伝子の異常との関係について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作製したFH遺伝子exon1-9、SDHA、SDHB、SDHC、SDHD遺伝子、NRF2遺伝子、KEAP1遺伝子、RET遺伝子、VHL遺伝子に対するプライマープールを用いて、マルチプレックスPCRを行うことにより、遺伝子変異解析を行った。HLRCCの家系に共通するFH遺伝子、SDHA、SDHB、VHL遺伝子の変異が検出された。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)FH遺伝子異常とメタボロミクスによるエネルギー代謝異常を結びつけての解析を行い、「Warburg効果」との関連性を検討する。 (2)FHがん抑制遺伝子の異常やエネルギー代謝異常と、患者の再発の有無、転移症例でのインターフェロンαや分子標的剤の治療成績治療効果、生存期間との関連性につき検討する。
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Research Products
(1 results)