2016 Fiscal Year Annual Research Report
Clinical analysis of urinary biomarkers predictive of renal injury due to tyrosine kinase inhibitors for advanced renal cell carcinoma
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26462427
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
小山 政史 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70276351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城武 卓 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10528805)
井上 勉 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (30406475)
岡田 浩一 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60233342)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腎癌 / 蛋白尿 / 分子標的薬 / チロシンキナーゼ阻害薬 / 進行性腎癌 / 転移性腎癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行性腎癌患者に対する分子標的治療、とくにチロシンキナーゼ阻害薬(Tyrosine Kinase Inhibitor, TKI)の有害事象の一つには蛋白尿がある。TKIに伴う蛋白尿に関しては、初期の段階では可逆的であるが、一方で進行すると不可逆的な糸球体上皮細胞の脱落、分節性硬化、尿細管間質病変を惹起する事がある。このため蛋白尿の増悪は治療継続を困難にする事がある。本研究では、尿中バイオマーカーとして糸球体上皮細胞障害マーカーである尿中ネフリン及び、尿細管障害マーカーである尿中β2-MG、NAG、L-FABPを測定し、その推移から早期に蛋白尿の増悪が予測可能かどうかを検討した。 尿検体は、外来で検尿、尿沈渣、尿蛋白、尿クレアチニン、β2-MG、NAG、L-FABPを新鮮尿半定量で測定し、余剰検体を一旦4℃保存した後、-80℃にて凍結保存し、尿中ネフリンはネフリンELISAキットにて比色定量した。採尿は、1.TKI治療前、2.TKI投与14日目、3.TKI投与28日目、4. 以降28日間隔で実施した。最終的なエントリー検体数は25例であった。受診日の尿蛋白定量の相関関係をその前回受診日に採取した各種尿中バイオマーカーと比較しその相関性を解析検討した。 研究結果としては、尿中バイオマーカーと尿蛋白定量における相関関係は得られたが、早期に蛋白尿の増悪が予測可能になる事や投薬量の減量の指標となるような有効な尿中バイオマーカーの検出には至らなかった。しかし、TKIによる蛋白尿の出現は、糸球体濾過障壁でのVEGF作用阻害によって蛋白尿が生じられると考えられているが、糸球体障害マーカーだけでなく、尿細管障害のマーカーも顕著な増加が認められており、蛋白尿の成因にはそれらの関与があることが示唆された。
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