2014 Fiscal Year Research-status Report
膀胱癌に対するmTORC1/2阻害剤を併用した新規抗癌治療戦略の確立
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26462428
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
菊地 栄次 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10286552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮嶋 哲 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (90245572)
小坂 威雄 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30445407)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 尿路上皮癌 / 転写因子 / シグナル伝達 / 喫煙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はPI3K-Akt-mTOR pathwayと関連のあるAXL (レセプターチロシンキナーゼのTAM familyの一つ、Gas6はそのリガンド)に注目した免疫組織学的検討を行った。上部尿路上皮癌に対して腎尿管全摘除術・膀胱部分切除術が施行された161例を対象とし、摘出検体を用いて免疫組織学的染色を行い、AXL及びGas6の蛋白発現を確認した。 AXLは94症例(58.3%)で強陽性、Gas6は89症例(55.3%)で強陽性であった。AXL強発現群は有意に術後転移を認め、またGas6強発現症例であった。病理学的T因子、腫瘍grade、壁内脈管侵襲の有無、AXL発現、Gas6発現は有意な癌特異的生存と関連する因子であった。多変量解析において、病理学的T因子(pT2以上、odds ratio(OR)=5.1, p=0.009)、Gas6強発現(p=0.038、OR=2.15)、AXL強発現(p=0.016、OR=3.32)が独立した癌特異的生存を予測する因子であった。これらの3因子を用いて上部尿路上皮癌の癌特異的生存を予測するリスク分類を行った。低リスク(OR 1.00–3.32, 36症例)、中リスク(OR 5.19–17.23, 82症例)、そして高リスク(OR 37.05, 43症例)に分類し生存解析を行ったところ、各群間で有意差を認めた。3年癌特異的生存率は低リスク群で92.9%、中リスク群で82.8%、高リスク群で51.9%であった。 AXL及びそのリガンドであるGas6の発現はお互いに強く関連し、共に上部尿路上皮癌の術後の癌特異的生存を独立して規定する因子であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は尿路上皮癌におけるPI3K-Akt-mTOR pathwayの臨床的意義の解明を研究計画としており、これに対してAXL、Gas6など関連蛋白の発現解析を上部尿路癌において検討。その予後的意義を解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は抗癌剤耐性制御におけるPI3K-Akt-mTOR pathwayの役割とmTOR阻害剤と各種抗癌剤併用治療効果の検証、喫煙によるPI3K-Akt-mTOR pathway亢進機序解明とmTOR阻害剤の治療効果検証をin vitro研究において進める予定である。
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Research Products
(1 results)