2016 Fiscal Year Research-status Report
去勢抵抗性前立腺癌のcholesterol代謝経路解明による個別化医療の確立
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26462432
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
住友 誠 愛知医科大学, 医学部, 教授 (50255535)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 去勢抵抗性前立腺癌 / タキサン / 乳酸脱水素酵素 / 嫌気性解糖系 / アポトーシス / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
(平成28年度の研究計画)1. C4-2皮下腫瘍モデルにおけるcholesterol制御とdocetaxel感受性の検討:in vivoでの検討、2. 4-2皮下腫瘍モデルを用いたオキサミン酸ナトリウムとdocetaxel併用による抗腫瘍効果の検討、3. CRPC患者における治療効果と血清LDH変化量ないしはPETないしはMRSによる集積強度との相関検討、4. CRPC患者における血清cholesterol値とAA治療感受性との相関性の検討 (研究実績)1. ホルモン感受性株(LNCaP)、CRPC株(LN-CSS)でのLDH定量実験では、LN-CSSでLDH発現の上昇を認めた。2. LDH阻害薬投与により、前立腺癌細胞株(PC-3、DU145、LNCaP、LN-CSS)で濃度依存的に抗腫瘍効果を認めた。taxan投与でも、前立腺癌細胞株は濃度依存的な抗腫瘍効果を認めたが、LN-CSSはLNCaPと比較してtaxanに対し抵抗性を示した。また、LN-CSSではLDH阻害薬とtaxanの併用投与で相乗的な抗腫瘍効果を認めた。同現象をC4-2皮下腫瘍モデルにおけるin vivoの系でも確認された。3. LN-CSSにおいてtaxan投与ではLDH発現の上昇を認めたが、LDH阻害薬を投与すると、LDH発現の低下を認め、taxanとLDH阻害薬の併用投与では、よりLDH発現の低下を認めた。このことからLDH阻害薬はtaxanによるLDH発現を抑制し、taxanによる抗腫瘍効果を促進することが示唆された。4.LDH阻害薬は前立腺癌細胞のオートファジー機能を修飾する可能性を示唆する結果が得られつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(計画1および計画2について) 動物モデルの系を含め、おおむね順調に進捗しており、LDH阻害薬が前立腺癌細胞のオートファジー機能を修飾する可能性を示唆する結果が得られつつあるあるなど、当初の予想外の知見が得られつつあり、今後の研究成果がさらに期待される。
(計画3および計画4について) 臨床検体採取の倫理基準の見直しや当施設における画像機器の使用基準などの問題もあり、一部の検体のLDH測定を開始したところであり、具体的な結果はまったく得られていない状況である。計画の見直しも含め、再度の検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
CRPCにおけるタキサン耐性機序の背景因子として、嫌気性解糖シグナルにおいて重要なLDHの機能が関与していることを、in vitroおよびin vivoの両系で証明できたと考えている。今後の方針として、 ① LDHがタキサン耐性にどのような機序で関与しているのかを分子生物学的手法を用いて検討する。特に、細胞周期関連シグナル分子やオートファジー関連分子との関連に着目した研究を行い、これまでに解明されなかった新たな知見の発見に努めたい。 ② 臨床検体採取の倫理基準の見直しや当施設における画像機器の使用基準などの問題もあり、計画計画の見直しも検討中である。LDH阻害薬投与後のアミノ酸定量を行う環境は整っており、解糖系とアミノ酸代謝の両者に着目した研究計画を立案する。
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Causes of Carryover |
① CRPC患者における治療効果と血清LDH変化量ないしはPETないしはMRSによる集積強度との相関検討および② CRPC患者における血清cholesterol値と新規ホルモン剤などの治療薬感受性との相関性の検討、上記2つの研究計画について、臨床検体採取の倫理基準の見直しや当施設における画像機器の使用基準などの問題もあり、臨床検体を用いた実験系が全く進んでいないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床検体におけるコレステロール定量と治療感受性との相関検討については、計画計画の見直しも検討中である。LDH阻害薬投与後のアミノ酸定量を行う環境は整っており、解糖系とアミノ酸代謝の両者に着目した研究計画を立案する。さらに、LDH阻害におけるオートファジーの修飾現象とアミノ酸代謝経路との相関を検討する研究計画を立案し、アミノ酸定量やオートファジー蛋白定量に次年度使用額を充当する予定である。
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