2014 Fiscal Year Research-status Report
閉塞膀胱の病態におけるコネキシンヘミチャネルの役割
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26462438
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
神家満 学 山梨大学, 総合研究部, 助教 (90362061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姚 建 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (50303128)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膀胱 / 膀胱上皮細胞 / チャネル / connexin43 / ATP |
Outline of Annual Research Achievements |
コネキシンチャネルは膀胱の収縮に重要な役割を果たすと考えられている。しかしそのメカニズムについては不明な点が多い。近年、膀胱の異常収縮を引き起こす原因とされる機械的ストレス及び虚血や酸化ストレスがコネキシンヘミチャネルを活性化することが報告されており、膀胱の異常収縮の病態生理におけるへミチャネルの関与が示唆される。そこで我々は、膀胱の異常収縮におけるヘミチャネルの役割を検証することを目的とし、26年度に膀胱異常収縮を起こす種々のストレスによって膀胱上皮細胞のヘミチャネルが活性化されるかどうか焦点に当て検討した。結果は以下の通りである。
1.マウス膀胱組織および初代培養尿路上皮細胞にコネキシン蛋白43が発現していることを、免疫染色、Western blot及びRT-PCRで明らかにした。 2.In vivo膀胱への機械的ストレス刺激による膀胱ATPの放出量を測定した。マウス膀胱のATP放出は、マウス膀胱へ注入した還流液の量に依存していることを明らかにした。還流液中にヘミチャネル阻害剤であるheptanolおよびlindaneを添加によって、ATPの放出量が有意的に抑えられた。 3.In vitro培養上皮細胞への機械的な刺激もATPの放出を誘導すること、またこれらの放出をヘミチャネル阻害剤によって抑えることを明らかにした。 以上の結果から、膀胱上皮細胞のヘミチャネルが機械的ストレスによって刺激され、ストレスによる膀胱ATPの放出と関連していることを初めて明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は計画通りに進んでいる。26年度の研究成果は、膀胱上皮細胞のヘミチャネルが機械的ストレスによって刺激され、ストレスによる膀胱ATPの放出と関連していることを示している。従って、ヘミチャネルが膀胱の異常収縮に重要な役割を果たしている可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は以下の通りである。 1. 機械的ストレスによって引き起こされる膀胱の収縮及び膀胱のリモデリングにおけるヘミチャネルの役割を検討する。方法1:ヘミチャネルの阻害剤、mimetic peptide、Cx43等に特異的なsiRNAを用い、ヘミチャネルを阻害時の膀胱収縮反応の変化をモニターする。また膀胱の構造的変化を組織化学、RT-PCR、ウエスタンブロットを用いて評価する。方法2: Cx43 heterozygoteマウスまたはCx26ノックアウトマウスをJackson Laboratory より購入し、膀胱の収縮におけるギャップジャンクションやヘミチャネルの役割をin vivoで検討する。 2. 膀胱収縮におけるヘミチャネルの役割をより深く理解するために以下の詳細な解析を行う予定である。 方法1: ヘミチャネルの活性化(開閉)と膀胱収縮機能及び組織構造の変化との関連性を解析する (in vivo)。方法2: 摘出した膀胱組織切片におけるヘミチャネルの開閉と収縮力の関連性を解析する (ex vivo)。方法3: 細胞培養モデルにおいて、機械的伸展によって引き起こされた細胞の活動の変化をヘミチャネル阻害剤を用いて、細胞の形、吸着度、分化度の観点から調べる。
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