2014 Fiscal Year Research-status Report
中腎管コンピテンス維持におけるFgf9/Sox9発現機構と間葉シグナル動態
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26462440
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| Research Institution | Shinshu University |
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Principal Investigator |
城倉 浩平 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (30303473)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 中腎管 / 分化応答能 / 尿管芽 / 成長因子 / 上皮間葉相互作用 / 遺伝子発現 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
平成２６年度の研究では、FGF9に対する中腎管間葉のシグナル因子発現変動を調べ、変動が認められた因子について、培養中腎管に対する効果を検証した。間葉に発現する成長因子のうち、特にBMPとWNTに注目して発現変動を調べると、FGF9添加によりBmp2、Bmp4、Wnt2b、Wnt4発現が有意に低下した。Bmp7発現に有意な変化はなかった。これらの因子を中腎管培養に添加した結果、BMP4が中腎管のFgf9発現およびRet（GDNFレセプター）発現を有意に抑制することが分かった。後腎は、中腎管が後腎間葉の成長因子GDNFに応答し、尿管芽を形成することで発生する。中腎管周囲の間葉に発現するBMP4がこの応答性を抑制し、尿管芽の正所性形成に寄与することが報告されているが、この抑制機序の詳細は明らかになっていない。今回の結果から、中腎管のFGF9と間葉BMP4は、互いの発現を抑制する関係にあると考えられる。これまでの研究で、FGF9には中腎管の生存、細胞増殖、GDNFレセプター発現、Fgf9・Sox9発現等を支持する作用があることを見出してきたが、これに加え、FGF9は間葉のBmp4発現を抑制することで中腎管の応答性に寄与する可能性がある。一方、BMP4による中腎管の応答性抑制には、Ret（GDNFレセプター）およびFgf9発現の抑制が関与することが示唆された。
本研究の目的は、腎臓の発生に必須である中腎管の分化応答能が、間葉との相互作用の中でどのようにして維持されるのか、成長因子FGF9を基軸としてその分子機構を明らかにすることである。その一端として、FGF9に対する間葉応答について新しい知見が得られてきた。本研究を推進することにより、中腎管応答能維持機構の理解につながると考えられ、腎・尿管系組織再生研究の基盤となる有用な情報を得ることができる。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的で到達目標に掲げた２項目のうち、「FGF9に対する間葉のシグナル因子発現変動を捉え、中腎管コンピテンスに及ぼす作用を明らかにする」について、現在までに着実にデータを収集している。FGF9が間葉Bmp4発現を抑制し、一方でBMP4が中腎管のFgf9発現やRet発現を抑制するという興味深い所見が得られてきており、中腎管コンピテンスの制御機構解明に向けて一助となると期待される。現在はこの項目に注力して研究を進めているため、もう一つの項目「中腎管のFGF9とSOX9のフィードバックループを検証し、両者の遺伝子発現機構を明らかにする」に関しては、今後、SOX9抗体を用いたクロマチン免疫沈降（ChIP）等により解析を進める予定である。
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| Strategy for Future Research Activity |
当初計画として、ラット胎児組織を用いた実験に加え、中腎管細胞株の作製を行い解析サンプルを補う予定であった。上述のように、中腎管や間葉の組織培養系において興味深い結果が得られてきたため、平成２６年度はこちらに注力して解析を進めた。今後の研究方針として、不死化マウスからの中腎管細胞株の作製を次年度に試行し、培養細胞での応答を遺伝子発現解析等で調べていく予定である。
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| Causes of Carryover |
FGF9刺激に対する間葉応答および、変動間葉因子の中腎管への効果について研究を先行させたため、当初予定していた不死化マウス胎児からの中腎管細胞株の作製を次年度に実施することとなった。これにより次年度使用額が生じた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、平成２７年度請求額と合わせて、実験動物の購入および消耗品費として使用する。
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Research Products
(2 results)
