2014 Fiscal Year Research-status Report
下部尿路における平滑筋の新規収縮弛緩調節機構の解明とその臨床応用
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26462445
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梶岡 俊一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90274472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 晋介 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30192230)
高橋 良輔 九州大学, 大学病院, 助教 (30529805)
松田 美穂 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40291520)
逸見 百江 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40585890)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 尿道平滑筋 / 膀胱排尿筋 / トロポニン / カルシウム動態 / カルシウムストア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、「下部尿路における平滑筋の新規収縮弛緩調節機構の解明とその臨床応用」である。平成26年度の目標は、新規cAMP関連蛋白であるEpacの下部尿路平滑筋に対する生理学的検討であったが、ヒト膀胱排尿筋を用いた膜脱膜化標本において、1 microM カルシウムにより生じた収縮張力に対して、Epac選択的cAMPである8-pCPT-2'-O-Me-cAMP (100 microM)は1割程度の弛緩作用しか示さなかったのに対し、protein kinase A選択的cAMPである6-Bnz-cAMP (100 microM)は、5割にせまる弛緩作用を示した。以上のことより、ヒト膀胱排尿筋におけるcAMPによる弛緩作用は、EpacよりもPKAを介するメカニズムがメインであることがわかった。また、もう一つの目標である、尿道平滑筋におけるCa sensing receptorの検討においては、まずは、オーガンバス等尺性収縮張力実験法を用いて、各種カルシウムチャネル拮抗剤を試してみた。L型カルシウムチャネル拮抗薬のニフェジピン(10 microM)存在下でも、この細胞外のCa2+濃度に対する収縮張力の感受性は残ることから、T型及び、N型カルシウムチャネル拮抗薬であるミベフラジル (10 microM)、オメガコノトキシン(1 microM)を試みたが、抑制されなかった。Ca2+活性化Cl-チャネル阻害薬であるniflumic acid(30 icroM)はこの収縮反応をよく抑制した。Ca2+ストア関連薬剤であるSKF96365 (30 microM)、cyclopiazonic acid (CPA) (10 microM)、2-aminoethoxydiphenylborate (2-APB) (100 microM)は5mMの細胞外Ca2+による収縮張力を抑制し、10 microM CPAと 10 mM caffeineを合わせて添加すると完全に抑えられた。尿道平滑筋の張力維持には、膜の脱分極によるL型Ca2+チャネルからのCa2+流入のみならず、さらにCa2+ストアからのカルシウム放出も必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の大きな目標である、新規cAMP関連蛋白であるEpacの生理学的検討においては、Epacは、ヒト膀胱排尿筋においては、PKAよりもその生理作用は弱いことがわかった。またもう一つの目標である尿道平滑筋におけるCa2+ sensing receptorの検討おいては、さらならる検討の結果、ブタ尿道平滑筋において、細胞外のCa2+濃度に対する収縮張力の発生に関しては、リアルタイムPCR法で、Ca2+ sensing receptorの発現量は、膀胱よりも尿道に多かったが、薬理学的な観点からは、典型的なCa2+ sensing receptorではなく、そのサブタイプの可能性であることがわかった。以上の大きな二つの目標は達成されていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Epacの下部尿路の役割に関しては、膀胱排尿筋のキャラクタリゼーションはひとまず終了したので、尿道平滑筋における、Epacの役割を明らかにしていく。 また、尿道平滑筋の細胞外のCa2+濃度に対する収縮張力の発生メカニズムに関しては、Ca2+ sensing receptor以外のカルシウムを感知するチャネル、機構を検討する。 また、平滑筋にトロポニンCを強制発現するTgマウスも完成したので、in vivoでの生理学的検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
端数が生じたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度必ず使用する予定です。
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Research Products
(4 results)