2015 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞を用いた閉塞性尿路疾患に対する新規治療方法の確立
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26462452
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浅沼 宏 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70245570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00213885)
香野 日高 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (50338133)
水野 隆一 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60383824)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 閉塞性腎症 / 閉塞性膀胱障害 / 上皮間葉系形質転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 膀胱障害に対するMSCの治療効果と安全性の検討 現在、ラットの尿道を部分結紮した尿道閉塞モデルを作成中である。 2. MSCによる線維化抑制効果の作用機序の検討 ラット尿管部分結紮モデルを作成し、培養液のみを下大静脈に注入した閉塞性腎症群、骨髄由来MSC(1x106/匹)を静注した幹細胞治療群、尿管結紮を行わないSham群を作成した。3日~4週間後に尿、血液、腎組織を採取した。採取した腎組織をホモジナイズし、ELISA法により増殖因子(TGF-β1、BMP-7、VEGF、FGF、HGF、IGF-1など)、サイトカイン(TNF-α、IL-6、IL-11、IL-18など)の組織内タンパクレベルを評価した。 また、組織から抽出したRNAを用いてリアルタイムPCR法により増殖因子およびサイトカインの組織内遺伝子発現を評価し、MSCによる組織線維化抑制効果に関するEMT、METの制御、および液性因子の関与を検討した。ELISA法による腎皮質内のタンパクレベルの評価では、VEGFとIL-10は測定値以下であったが、TNF-αとTGF-β1は尿管閉塞にて有意に増加した。そして、幹細胞の投与によりTGF-β1には変化が認められなかったが、TNF-αは有意に低下した。リアルタイムPCR法による腎皮質内のmRNA発現の評価では、TNF-α、TGF-β1、FGF、HGFは尿管の閉塞により有意に増加、VEGFは有意に低下した。尿管閉塞4週間後には、TNF-αの発現は幹細胞の投与により有意に低下した。これらの結果は、幹細胞によるEMT、腎線維化防止のメカニズムとして、TNF-αの関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
閉塞性腎症の動物モデルとして、今回は尿管完全結紮ではなく尿管部分結紮によるモデル作成を計画した。しかしながら、結紮程度が一定せず、モデル作成の確立に時間を要した。 また同様に、膀胱障害モデルとしての尿道部分結紮モデルの作成にも難渋している。ヒトのように膀胱壁肥厚の所見となる前に膀胱拡張や破裂となってしまう動物が多く、研究遂行に遅れをきたしている。
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Strategy for Future Research Activity |
動物モデル作成に修練し、腎障害、特に膀胱障害への幹細胞治療効果と安全性の検討を加速する予定である。また、本年度以降の計画である「治療効果の幹細胞の性別による相違、および治療効果向上のための検討」「異種間治療の可能性の検討」についても順次遂行予定である。
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Research Products
(2 results)