2015 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化に伴う慢性膀胱虚血による低活動膀胱動物モデルの開発と病態の解明
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26462454
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
野宮 正範 日本大学, 工学部, 研究員 (00398348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 脩 日本大学, 工学部, 教授 (60006814)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 低活動膀胱 / 膀胱虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的]最近、膀胱虚血が膀胱機能障害の病因として注目されている。本研究は、膀胱虚血の重症化と長期化に伴って膀胱機能障害は膀胱過活動から膀胱低活動へ進行するか検討した。 [対象と方法]1;重症化の検討:雄性ラットを対照群、L-NAME(NOS阻害剤:薬剤性の内皮障害)投与群、両側腸骨動脈バルーンカテーテル内皮傷害(AI)群とAI+L-NAME投与群の血管ダメージの異なる4群に分け、8週間飼育後に膀胱内圧測定を行った。2;長期化の検討:雄性ラットを対照群とAI群に分け、4、8、12および33週以上経過した時点で膀胱内圧測定を行った。測定後、両側総腸骨動脈を摘出し組織学的検討を行った。 [結果] 1;対照群と比し、L-NAME群とAI群の排尿間隔は短縮し膀胱容量の減少を認めた。一方、AI+L-NAME群の排尿間隔は著明に延長し、膀胱容量の増大と有意な残尿の発生を認めた。AI+L-NAME群の総腸骨動脈は、動脈閉塞性変化を示し、4群間で最も壁肥厚が顕著であった。2;AI後4、8週目では、対照群に比べ、排尿間隔は有意に短縮し膀胱容量も減少していた。残尿量は差を認めなかった。AI後12週目では、個体間のばらつきが大きく有意な差に至らなかった。AI後33週以上では、逆に排尿間隔が著明に延長し膀胱容量の増大と有意な残尿発生を認めた。AI群の総腸骨動脈は、すでに4週目で明らかな内膜増殖を伴う血管壁肥厚を呈し、33週以上維持され、経時的に厚くなっていた。 [考案]膀胱過活動(排尿間隔の短縮と残尿を伴わない膀胱容量の減少)は、膀胱虚血の比較的軽症および早期に認められた。一方、虚血の重症化と長期化に伴い、膀胱機能障害は、膀胱低活動(排尿間隔の延長と有意な残尿を伴う膀胱容量の増大)へ進行した。本研究の結果から、慢性膀胱虚血は、進行性膀胱機能障害の原因となることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体を用いた機能的評価に関しては、概ね順調に経過している。 今後、凍結保存した組織サンプルを用いて、分子生物学的な検討を予定してしている。 また、パラフィン固定標本における組織学的検討も併せて行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
神経染色および特殊抗体を用いた実験系において再現性が悪い傾向がある。優れた見識を有する研究者と積極的に意見を交換し、改善に努める。 得られたデータを解析し、発表ならびに論文報告をする予定である。
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Research Products
(7 results)