2014 Fiscal Year Research-status Report
免疫グロブリン大量療法の効率化を目標としたアロ活性化マクロファージ抑制法の開発
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26462466
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
能見 勇人 大阪医科大学, 医学部, 講師 (80418938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 治人 大阪医科大学, 医学部, 教授 (40231914)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腎移植 / 同種異型移植 / マウス / 急性拒絶反応 / 免疫グロブリン大量療法 / IVIG / 抗体関連型拒絶 / 免疫抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫抑制作用があると知られる免疫グロブリン大量療法(IVIG)の作用機序を解明するために解析をすすめた。まず、一次移植(初期感作);マウスのMHC classⅡであるH-2D方の異なる移植モデルとして、C57Bl/6マウス(B6マウス;H-2Db)にH-2Ddの系統のマウスであるDBAマウス由来の線維肉腫細胞であるMeth A腫瘍細胞を腹腔内移植した。この移植Meth A細胞は腫瘍であるため腹腔内で増殖をつづけるが、その後、アロであるために拒絶反応がおこり移植後7日を最大として減少に転じ、14日後には拒絶されマウス腹腔内から消滅する。この際に腹腔内浸潤して免疫を担当する細胞群を腹腔浸潤細胞(PEC)として抽出し、抗体と免疫担当細胞群であるPECの関連を51Cr releasing assayを用いて調査した。同様の実験を二次移植モデルとして、一次移植細胞を拒絶したマウスにと一次移植と同様にMeth A細胞を腹腔移植したとところ、一次移植より明らかに早期にMeth A細胞は拒絶された。通説のとおりに二次移植が早期に拒絶される原因として免疫記憶により早急に抗体が産生され免疫を早急に賦活したものと考えられた。 ここで、この2次移植におけるPECの細胞障害活性をin vitroにおいて、抗体や抗体のFc Blockerを用いて低下させうることが可能か現在検証しているが一定の結果を得るにいたっていない。ただし、これらのPECの中の免疫担当細胞をin vitroで吸着することでPECの細胞障害活性を強く減弱させうることを確認した。つまり、PECに含まれるeffector細胞が抗体を利用し、オプソニン効果を伴って拒絶反応における細胞障害活性を持っているものと示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗体関連拒絶反応と細胞性拒絶反応の相関に関して、抗体の量と種類によって、免疫が抑制されたり、抗体の種類によっては逆に賦活化されたりすることが判明した。今後の研究において、in vivoでのIVIGの効率的な成果を得るためには、補体活性によるもの以外のeffector細胞と考えられる単球マクロファージとNK細胞と顆粒球の相関関係をより明らかにすること必要と考えられる結果を得た。このため、当初想定していなかった顆粒球の関与と関連を検討するべきであると考えた。すなわち、アロ移植時の腹腔浸潤細胞(PEC)の組成のうち顆粒球、単球マクロファージ、リンパ球、(NK細胞)のそれぞれの免疫早期での反応性とそれらの一次移植と二次移植での差異と抗体の関連性を確認するべきであり、FACSを用いた検証、各分画の細胞障害活性の実験、抗体との細胞障害活性の関連をそれぞれ、詳細に検討するべきと考えられる。この解析には当初予想したよりも比較的長時間を要するものと考えられるため、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
アロ細胞移植時の腹腔浸潤細胞(PEC)の組成のうち顆粒球、単球マクロファージ、リンパ球のそれぞれの免疫早期での反応性を確認すべく、移植後1.3,5日等のPEC細胞組成の差を一次移植と二次移植での差異を含めて、FACSを用いて解析をすすめる。さらにこれらのPECの分画をそれぞれ抽出し、分画ごとにアロ細胞に細胞障害活性を確認する。これらのうち特に二次移植から得られるPECの分画のうち細胞障害活性の強い部分を選別し、その細胞組成と、細胞障害活性が免疫グロブリン直接の添加により減弱するものか否かin vitroで検証する。各細胞群の抗体の関連性を確認する作業をつづけ、免疫グロブリン大量療法の作用機序のより明確な解明と関連する免疫担当細胞群の詳細な同定と検討を行い、免疫グロブリン大量療法の効率化をはかりたい。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] アロ移植細胞拒絶におけるアロ活性化マクロファージの攻撃細胞としての役割2015
Author(s)
能見勇人, 平野 一,松永 知久,前之園 良一,吉川勇希, 辻野拓也,斉藤賢吉,高井朋聡,内本泰三,高原 健,稲元輝生,木山 賢,東 治人
Organizer
日本泌尿器科学科
Place of Presentation
金沢都ホテル(石川県金沢市)
Year and Date
2015-04-18 – 2015-04-19
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[Presentation] アロ活性化マクロファージによるアロ細胞拒絶機構に関する検討2014
Author(s)
能見勇人, 平野 一,前之園 良一,西本優大,松永知久,吉川勇希,斉藤賢吉,内本泰三,南 幸一郎,木山 賢,東 治人
Organizer
日本移植学会
Place of Presentation
京王プラザホテル(東京都新宿区)
Year and Date
2014-09-11