2015 Fiscal Year Research-status Report
逆行性遺伝学手法を用いた無精子症原因遺伝子群の解析
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26462469
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
千石 一雄 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30163124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 敏伸 旭川医科大学, 医学部, 講師 (70360998)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 無精子症 / 男性不妊 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト精子形成に関連する遺伝子群を同定し、逆行性遺伝学的手法により精子形成メカニズムを解明することを目的に、これまで研究を重ね多くの遺伝子と無精子症との関連を報告してきた。本年度は中心小体の複製に重要な役割を担ない、また、ヘテロのmutationを持つ雄マウスがヒトの無精子症であるsertoli cell only syndrome (SCOS)と類似した表現系を呈するPolo-like kinase 4 (PLK4)に着目し、SCOS患者に認められた変異PLK4 の詳細な機能解析を行った。 SCOS患者81例および正常精子症例948例を対象としてPLK4遺伝子のmutation解析を施行したところ、SCOS患者1例に13 bpの欠損をヘテロに認めた。このmutationの機能解析を行うべく変異PLK4をtransfectした細胞を用い免疫組織学的に検討した結果、PLK4のwild typeを過剰発現させた細胞では中心小体が増加したのに対し、mutationを持ったPLK4を過剰発現させても中心小体は増加せず、また、細胞核の形態異常も認めた。この結果から今回同定したPLK4のmutationは中心小体の複製を阻害することにより染色体の不安定性を招来し、細胞分裂異常などの機能異常を示すことが明らかとなり、PLK4異常はヒトSCOSの原因になりうることが示唆された。 また、不活性化により雄マウスでSCOSの表現系を呈するSIN3A遺伝子に関しても検討したが、SIN3Aはヒトにおいては精子形成に関与しないことが示唆された。 今後は無精子症に関連する種々の遺伝子を同定し機能解析を行うことにより精子形成メカニズムの一端を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SCOS による無精子症の原因遺伝子として発見された変異PLK4の詳細な機能解析を行い論文を国際雑誌に発表した。また、SIN3A遺伝子はヒト精子形成に関与しないこと、さらに、男性不妊と遺伝要因に関する英文レビュー論文を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
組織学的に減数分裂停止による無精子症(maturation arrest:MA)及びSCOSの精巣組織から抽出されたRNAを用い、cDNAマイクロアレイ法によりヒト精巣における精子形成に関与する新たな遺伝子群の単離を行う。また、同定した遺伝子が精子形成にどのように関与するのかそのメカニズムを解析するためノックアウトマウスの作成準備を進める。 さらに、遺伝子のメチル化の状態などエピジェネティクな修飾に関しても解析をすすめる。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] A PLK4 mutation causing azoospermia in a man with Sertoli cell only syndrome2016
Author(s)
Miyamoto T, Bando Y, Tsujimura A, Miyagawa Y, Iijima M, Namiki M, Shina M ,Ogata K, Matsumoto N, Sengoku K
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Journal Title
Andrology
Volume: 4
Pages: 24, 81
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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