2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26462478
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
甲賀 かをり 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10396723)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症子宮内膜症患者における血清25(OH)D 値は非子宮内膜症患者、軽症子宮内膜症患者に比べて有意に低かった。1,25(OH)2D 値には本症の有無、重症度による違いを認めなかった。 1,25(OH)2D3 はESC におけるIL-8 mRNA 発現を有意に減少させた。1,25(OH)2D3 はIL-8 蛋白産生を有意に抑えた。1,25(OH)2D3 はPGE2 産生を用量依存性に有意に抑制した。また、1,25(OH)2D3 はCOX-2、mPGES-1 およびmPGES-2 のmRNA 発現を有意に減少し、15-PGDH のmRNA 発現を有意に増加した。cPGES のmRNA 発現には1,25(OH)2D3 による影響はなかった。1,25(OH)2D3 は生存細胞数を有意に減少させ、BrdUの再取り込み能を有意に抑制した。アポトーシス陽性細胞の割合には一定の傾向を認めなかった。1,25(OH)2D3はMMP-2 およびMMP-9 のmRNA 発現を有意に抑制した。1,25(OH)2D3 非添加群ではIκBα の蛋白発現が減少するのに対し、1,25(OH)2D3 添加群では減少を有意に増加させた。 本研究において、非子宮内膜症患者、軽症子宮内膜症患者に比べて、重症子宮内膜症患者において血清25(OH)D 値が有意に低いことが示された。ESC を用いたin vitro 実験では、1,25(OH)2D3 は、IL-8 発現、PGE2 産生、MMP mRNA 発現などのIL-1β やTNF-α に誘導された炎症反応を有意に抑制することが示された。さらに1,25(OH)2D3 はESC の生存細胞数を有意に減少させ、DNA へのBrdU 再取り込みを抑制したが、アポトーシスには一定の傾向を認めなかった。また、1,25(OH)2D3 はESC におけるNF-κB 活性も有意に抑制することも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに実験進んだため
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Strategy for Future Research Activity |
これらの結果からビタミンDの欠乏が子宮内膜症の病態形成に関与していることが示唆され、子宮内膜症の管理においてビタミンDの投与で治療的な効果が得られる可能性が示唆された。本研究において、体内におけるビタミンD欠乏と重症子宮内膜症の関係や、ESCにおけるビタミンDの抗炎症、抗増殖、抗浸潤効果が示された。これらからビタミンD欠乏が子宮内膜症の進展を助長しており、ビタミンDの摂取が病態の管理に有用である可能性が示唆された。ビタミンDの摂取に関しては、クローン病、多嚢胞性卵巣症候群の患者などで効果があることも知られている。ビタミンDは排卵には影響を与えないことから、妊娠を望む子宮内膜症患者に対して、今後新たな治療法となり得ると思われる。ただし、本研究はin vitro のみで行われており、ビタミンDの有効性については実際の患者を対象とした臨床研究など更なる検討が必要である。また、卵巣子宮内膜症という重症子宮内膜症病変を用いて検討しており、子宮内膜症初期病変での検討を行っていない。これらのことを、今後の研究課題としていきたい。
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Causes of Carryover |
来年が最終年度であり、これまでの研究の最後の検証やまとめのための費用として残した。また本研究課題に対して企業からの寄付など別の研究費を得ることができ、そちらを使用した分が次年度使用額に羽いされた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでの実験成果の検証実験、論文投稿のための追加実験、まとめに使用予定
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Effects of 1,25-dihydroxy vitamin D3 on endometriosis2016
Author(s)
Miyashita M, Koga K, Izumi G, Sue F, Makabe T, Taguchi A, Nagai M, Urata Y, Takamura M, Harada M, Hirata T, Hirota Y, Wada-Hiraike O, Fujii T, Osuga Y
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Journal Title
J Clin Endocrinol Metab
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Resveratrol enhances apoptosis in endometriotic stromal cells2016
Author(s)
Taguchi A, Koga K, Kawana K, Makabe T, Sue F, Miyashita M, Yoshida M, Urata Y, Izumi G, Takamura M, Harada M, Hirata T, Hirota Y, Wada-Hiraike O, Fujii T, Osuga Y
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Journal Title
Am J Reprod Immunol
Volume: 75
Pages: 486-492
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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