2014 Fiscal Year Research-status Report
子宮内環境の変化に対するチオレドキシン結合蛋白によるストレス応答システムの解析
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26462487
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
由良 茂夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (60335289)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧症 / 胎盤 / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠高血圧症候群は胎盤の発育障害による血流障害が原因の一つとされ、低酸素や低栄養のために胎児は発育障害となる。我々は胎盤・胎児の発育・成熟調節や胎児への糖輸送・脂質の利用など母児間の栄養調節にチオレドキシン結合蛋白(Thioredoxin binding protein:TBP-2)が関与している可能性を想定し、胎盤・胎児の細胞増殖や代謝制御におけるTBP-2の役割を検討している。 平成26年度は本学附属病院及び関連施設において正常妊婦、妊娠高血圧症候群(PIH)妊婦、子宮内胎児発育不全(IUGR)妊婦、妊娠糖尿病妊婦、および食事摂取制限が必要な肥満妊婦などから妊娠初期の絨毛および分娩時の胎盤組織を採取し、TBP-2の遺伝子発現を検討した。TBP-2は絨毛細胞および血管内皮細胞での発現が認められ、妊娠初期絨毛では妊娠中期・後期に比べて発現が低値を示した。PIH+IUGRの胎盤では、正常およびIUGRのみの胎盤に比べて、TBP-2遺伝子発現が低下していた。 また、ヒト胎盤組織を用い、酸素濃度1%、5% など種々の低酸素環境下での培養を行った。これらにおけるTBP-2発現の変化を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は① 種々の妊娠経過におけるTBP-2の検討、②胎盤組織および絨毛細胞におけるTBP-2発現の解析、③妊娠モデル動物におけるTBP-2発現の解析の三点を計画して研究を実施した。このうち、①および②については検体の収集や分析、実験結果の解析を順次進めることができている。③については実験準備を進め、次年度以降に研究が進められるように基礎的な検討を開始した。 したがって、研究計画はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度に引き続き、本学附属病院及び関連施設において正常妊婦、妊娠高血圧症候群妊婦、子宮内胎児発育不全妊婦、妊娠糖尿病妊婦、および食事摂取制限が必要な肥満妊婦などを対象に、妊娠中ないし分娩時の母体血液、臍帯血、胎盤等を採取し、検討を継続する。以上により、母体の代謝変化と胎盤における酸化ストレス、胎児発育との関連を検討する。 また、ヒト胎盤組織や絨毛細胞を用いた培養実験についても、26年度に引き続きTBP-2の発現調節機序を検討する。一方でTBP-2の強制発現によって絨毛細胞の増殖や成熟にどのような影響を及ぼすかを検討し、これにより、TBP-2が細胞の増殖や機能的成熟にどのように関与しているかを解明する。 さらに、マウス、ラットを用いた妊娠中の母体24時間絶食による急性負荷または胎仔発育障害モデルとして妊娠後半の慢性的母獣摂餌制限を行い、母体肝臓、脂肪や筋肉・胎盤・胎仔肝臓等におけるTBP-2発現を解析する。また、胎仔成長後の肝臓・脂肪・筋肉などを採取し、TBP-2の発現変化を検討する。
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Causes of Carryover |
該当金額では必要試薬の購入が難しく、次年度予算と併せて、必要試薬購入予定として、繰越とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予算と併せて、試薬代に充当する。
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