2016 Fiscal Year Annual Research Report
Stress response system by Thioredoxin binding protein-2: TBP-2/Txnip in utero during pregnancy
Project/Area Number |
26462487
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
由良 茂夫 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (60335289)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 産婦人科学 / 胎盤 / 低酸素 / チオレドキシン |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠高血圧症候群(PIH)は胎盤の発育障害による血流不全が原因の一つとされ、低酸素や低栄養のために胎児は発育不全(FGR)となる。我々は胎盤・胎児の発育・成熟調節や胎児への糖輸送・脂質の利用などにチオレドキシン結合蛋白(Thioredoxin binding protein:TBP-2 :別名thioredoxin interacting protein:Txnip)が関与している可能性を想定し、妊娠中におけるTBP-2/Txnipの役割を検討してきた。 平成27年度までの検討では正常妊婦、PIH妊婦、FGR妊婦から妊娠初期の絨毛および分娩時の胎盤組織を採取し、TBP-2の遺伝子発現が妊娠初期絨毛では妊娠中期・後期に比べて低値であること、PIH+FGRの胎盤では、正常およびFGRのみの胎盤に比べて低下していることを明らかにした。またヒト胎盤組織を用い、酸素濃度1%の低酸素環境下で培養したところ、標準酸素濃度下(20%)と比較してTBP-2発現は低下した。 平成28年度は妊娠マウスから採取した胎盤を解析し、母体の短期間の絶食によりTBP-2遺伝子発現が増強することを認めた。またTBP-2遺伝子欠損マウスでは胎盤の形成に深く関与するPeroxisome Proliferators-Activated Receptors (PPARs)の遺伝子発現が低下することが判明した。 TBP-2は高発現により細胞増殖を抑制して細胞の増殖調節に関与しているほか、インスリン依存性の糖取り込みを抑制し、脂肪酸の利用を促進するなど、細胞内の代謝制御において必須の因子である。また低酸素環境への適応にも重要で、栄養や酸素環境に応じて発育と成熟を切り替えるいわば細胞内スイッチの役割が想定されている。従って、妊娠時においてもTBP-2が胎盤・胎児の発育や成熟、母児間の栄養調節に関与している可能性が示された。
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Research Products
(1 results)