2016 Fiscal Year Research-status Report
β2GPI/MHCクラスIIに対する自己抗体の証明と産科異常病因解析
Project/Area Number |
26462489
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山田 秀人 神戸大学, 医学研究科, 教授 (40220397)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 雅士 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (50403291)
谷村 憲司 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80593988)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 抗リン脂質抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年5月までに神戸大学で管理した抗リン脂質抗体症候群(APS)の臨床症状を有する女性患者から同意を得、血清中aβ2GPⅠ/ HLA-DR7抗体(以後、ネオセルフ抗体)の抗体価を前方視的に測定した。また、従来の抗リン脂質抗体(aPL)(抗カルジオリピン抗体(aCL)IgG, aCL IgM, β2GPⅠ依存性aCL(aCLβ2GPⅠ)IgG, ループスアンチコアグラント(LA))も測定し、さらに、診療録より患者の臨床背景等を調べた。 全対象症例は95例であり、ネオセルフ抗体価≧30Uと高値であった14例中8例でaPLのいずれかが陽性であり、残りの6例ではいずれのaPLも陰性であった。従来のaPL陰性かつネオセルフ抗体価≧30Uであった6例はいずれも原因不明不育症の既往を有する患者であった。ネオセルフ抗体の測定は、APSの新たな診断検査法、特に、原因不明とされる不育症の原因検索に有用である可能性が示唆された。 APSの病因・病態にβ2GPIが深く関与していることは、これまでの世界的な研究で明らかである。しかしながら、臨床上、aPL陽性陰性や抗体価とAPS病態に乖離があるなど、aPL測定方法について多くの問題点が指摘されていた。本研究結果は、最近発見されたMHCクラスII分子の新しい抗原提示機構によるミスフォールドβ2GPIに対する自己抗体の存在を証明したため、学術的に最新で極めて独創的である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的のうち、 1. 種々のMHCクラスII分子によるミスフォールドβ2GPIの抗原提示効果を確定する。 2. MHCクラスII分子に提示されたミスフォールドβ2GPI(β2GPI/MHCクラスII複合体)に対する自己抗体(抗β2GPI/MHCクラスII複合体抗体)が、APS患者血清中に存在することを証明する。 3. 生体組織でβ2GPI/MHCクラスII複合体の局在を解析する。 について、ほぼ予定通りに完了した。 現在、4. 定量的に抗β2GPI/MHCクラスII複合体抗体を測定する新規検査法を確立する。実際の臨床上、APSや血清学的陰性APSの診断に対する検査法の有用性を調べている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、定量的に抗β2GPI/MHCクラスII複合体抗体を測定する新規検査法を確立する。実際の臨床上、APSや血清学的陰性APSの診断に対する検査法の有用性を調べる。 A. 健常妊婦および健常非妊娠女性の血清中抗β2GPI/MHCクラスII複合体抗体価を測定し、正常基準値を決定する。 B. 保存血清を用いて、および前方視的に不育症女性の血清中抗β2GPI/MHCクラスII複合体抗体価を測定し、不育症のリスク・原因検索における検査法の有用性を検討する。 C. 前方視的研究として、妊婦妊娠初期の血清中抗β2GPI/MHCクラスII複合体抗体価を測定し、産科合併症の発生予知における検査法の有用性を検討する
|
Causes of Carryover |
研究は順調に進んだが消耗品購入が予定通りではなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、引き続き研究を順調に推進し、必要な消耗品は年度早々から購入を始める。
|
Research Products
(6 results)