2015 Fiscal Year Research-status Report
羊水特異マーカーSCCを用いた母体への羊水流入の影響に関して
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26462497
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
大井 豪一 近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (10283368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 奈月 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20526785) [Withdrawn]
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40178330)
岩井 加奈 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60588531)
成瀬 勝彦 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (70453165)
重光 愛子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50553244)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | SCC / インターロイキン-13 / インターロイキン-4 / 分娩時出血量 |
Outline of Annual Research Achievements |
羊水塞栓症の病態は不明のままであるが、「何らかのアレルギー性反応が原因である」との論文が認められる。そこで、アレルギー性炎症の中心であるTh2型免疫反応において、中心的な役割を担うインターロイキン(IL)-4とIL-13に着目し、これらのインターロイキンが妊娠経過(前期から末期)おいて変動するかを検討した。その結果、母体血中IL-13値とIL-4値は妊娠の前期、中期および末期において、それぞれ、8.2±14.2 pg/ml, 6.4±10.0pg/ml, 5.4±9.4 pg/mlと0±0 pg/ml,0±0 pg/ml,0±0 pg/ml(平均±標準偏差)であった。IL-13値が少量ながらも、すべての妊娠期間で検出され、各妊娠期間の値に大きな差を認めなかった。また、IL-4値に関しては、妊娠期間中認めなかった。IL-13値は、妊娠初期から末期にかけて継続的に検出される症例が多く(4/12=33%)見られた。また、IL-13値は、すべての妊娠期間中に検出されない症例(4/12=33%)も多く見られた。 4000ml以上の分娩後出血を認めた臨床的羊水塞栓症(剖検確認はされていないが、症状より羊水塞栓症と診断した症例)の血清中SCC値16例を測定したところ、9.5±10.3 ng/mlであった。コントロール群のSCC値は、4.4±2.2 ng/mlであったことより、Mann-WhitneyのU検定を用いた統計学的解析をすると p=0.004であり、臨床的羊水塞栓症症例においては、有意に母体血中SCC値が高値であった。このことは、出血量が多いと母体血中SCC値が高値であるともいえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
羊水塞栓症は、2万分娩に1例程度の発症と言われる大変稀な疾患である。そのため、患者の血清が集まらないのが遅延の原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
扁平上皮細胞癌抗原(SCC)は、気管支喘息やアトピー性皮膚炎患者の血清でSCCの発現が増加しており、その発現はIL-13の発現を反映していることが判明している。また、我々のデータによると、羊水塞栓症患者の死亡例において、血清中のSCC値は高値を示している。そこで、羊水塞栓症例におけるSCC値とIL-13値を測定し、羊水塞栓症にTh2型免疫反応が関与しているかを検討する。また、分娩後高値となったSCC値がSCC1またはSCC2主体なのかも検討する。
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Causes of Carryover |
IL-4とIL-13を測定する症例数が少なかったため、測定費用があまりかからなかった。大井の学会出席にかかる費用を、この科研費分担金から支出しなかったため。本年度投稿論文がacceptされなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
IL-4とIL-13測定症例数を増加し、最終的な検討を実施する。対象症例数を増加させ、血中SCC値の測定をする。
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Research Products
(4 results)