2014 Fiscal Year Research-status Report
卵子幹細胞等を用いたヒト卵巣組織の凍結保存による妊孕能温存法の発展と確立
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26462499
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
高井 泰 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60323549)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 卵子幹細胞 / 卵巣凍結 / 妊孕能温存 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年女性の白血病や乳癌などの悪性腫瘍に対する治療では、抗癌剤・放射線の卵巣毒性により卵巣機能が失われ、医原性不妊となる症例も少なくない。卵巣組織の凍結保存は、低侵襲な腹腔鏡下手術を用いて比較的早期に検体が採取できるとともに、凍結できる卵子の数が飛躍的に高くなることが期待でき、最近ではより簡便なガラス化法が普及しつつある。 性同一性障害患者よりインフォームドコンセントを得て卵巣を切除した後、10mm 四方・厚さ 1mmの卵巣組織片 を採取し、ガラス化法の一種であるCryotissue 法(Kagawa et al., Reprod Biomed Online 18:568-577, 2009)で凍結保存した。この凍結ヒト卵巣組織を融解した細胞懸濁液から、生殖細胞特異的な RNA helicase である DDX4 (DEAD box polypeptide 4)の細胞外ドメインを認識する抗体を用いた FACS(蛍光活性細胞分 離法)によって、OSCs を分離した(White et al., Nat Med 18: 413-421, 2012; 詳細なプロトコル は Woods & Tilly, Nat Protoc 8: 966-988, 2013)した。この分離・抽出プロトコルにおいて、試薬濃度や処理時間などの最適化を図ることによって、従来法よりもDDX4陽性細胞を効率的に得ることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト卵巣組織からDDX4陽性細胞を抽出・培養後に、得られた細胞のPRDM1、DPPA3、IFITM3 などの生殖細 胞特異的遺伝子や UTF1、NANOG、SOX2 などの多能性細胞特異的遺伝子の発現プロファイル を比較検討している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
性同一性障害患者より提供された卵巣組織から分離・抽出された卵子幹細胞(oogonial stem cells: OSCs)の細胞学的特徴の解析を奨める。特に、マウス OSCs では減数分裂開始に関わる Stra8 が継代培養の過程で発 現すること(Imudia et al. Fertil Steril: in press, 2013)や始原生殖細胞の誘導因子であるBone morphogenetic protein 4 (BMP4)によって Stra8 が誘導されること(Park et al., Fertil Steril 100: 1468-1475, 2013)が報告されているため、ヒト OSCs における STRA8 発現の有無や BMP4 などのサイトカ インの作用を解析する。
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Research Products
(12 results)