2015 Fiscal Year Research-status Report
卵子幹細胞等を用いたヒト卵巣組織の凍結保存による妊孕能温存法の発展と確立
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26462499
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
高井 泰 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60323549)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 卵子幹細胞 / 卵巣凍結 / 妊孕能温存 |
Outline of Annual Research Achievements |
「卵子幹細胞」に関するTillyらの報告(White YA, et al. Nat Med, 2012)に対しては、複数の懐疑的な論評や反証が呈示され、議論は現在も続いている。Liuらは他の3研究室と共同で追試をおこなったが、期待された細胞は得られなかったと報告しているため(Zhang H, et al. Nat Med, 2015)、Tillyらは抽出の効率を高めたプロトコルを考案した(unpublished)。我々は同プロトコルを入手し、卵巣の細切処理、DNase IやCollagenaseなどの試薬、反応時間や方法、フィルター処理などを最適化した。これによって、従来法よりも細胞抽出効率を改善することができた。 また、性同一性障害患者から得られた凍結卵巣によって得られた知見を実臨床に応用するため、若年悪性腫瘍患者の卵巣の凍結保存を院内倫理委員会および関連学会に申請し、承認を受けた。あわせてわが国の若年悪性腫瘍患者に対する妊孕性温存体制を整備・拡張するための情報発信を行った(「研究発表」参照)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト卵巣組織からDDX4陽性細胞を抽出する方法を最適化するとともに、継代培養後に、得られた細胞のPRDM1、DPPA3、IFITM3などの生殖細胞特異的遺伝子やUFT1、NANOG、SOX2などの多能性細胞特異的遺伝子の発現プロファイルを比較検討している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
性同一性障害患者より提供された卵巣組織から分離・抽出された卵子幹細胞(oogonial stem cells: OSCs)の細胞学的特徴の解析を進める。本年度よりTillyらの研究室に我々の教室員を派遣し、共同研究体制を更に強化する予定である。特に、マウスOSCsでは減数分裂に関わるStra8が継代培養の過程で発現することや始原生殖細胞の誘導因子であるBMP4によってStra8が誘導されることなどが報告されているため、ヒトOSCsにおけるSTRA8発現の有無やBMP4などのサイトカインの作用を解析する。
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