2014 Fiscal Year Research-status Report
排卵障害に対する G-CSF による治療法の確立を目指して
Project/Area Number |
26462503
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
牧野田 知 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80165688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 亮太 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (30298351)
早稲田 智夫 金沢医科大学, 医学部, 講師 (40367488)
藤田 智子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (90350785)
柴田 健雄 金沢医科大学, 医学部, 助教 (20609979)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 排卵障害 / G-CSF / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的な排卵誘発剤であるクロミフェンやFSHならびにhCGを使用するも黄体化未破裂卵胞(LUF)を発症した患者に本研究の参加を求めた。研究適応基準は、①40歳未満、②卵巣周囲に強度の癒着が認められない、③G-CSF投与周期では前周期と同様の卵巣刺激が行われることとし、研究除外基準は①G-CSF投与時の末梢血白血球数が10,000/μL以上、②薬剤過敏症の既往やアレルギー素因がある、③肝・腎・心機能に高度の障害がある、④医師が参加不適当と考えられる、とした。インフォームド・コンセントを得て、LUF発症後の周期にLUF発症周期と同様の卵巣刺激法に追加してG-CSFを投与した。 G-CSFを投与していないクロミフェン+ hCGの排卵誘発周期の排卵率は47.7%であった。それに対しG-CSFを追加投与した排卵誘発周期の排卵率は89.7%で有意な排卵率の上昇が認められた(P<0.001)。G-CSFを投与していないFSH+hCGの排卵誘発周期の排卵率は63.5%であった。それに対しG-CSFを追加投与した排卵誘発周期の排卵率は93.8%で有意な排卵率の上昇が認められた(P=0.015)。 白血球はG-CSF投与後に一時的に増加するが1週間程度で正常値となり、その他有害事象は認められなかった。 G-CSFの投与により、現在有効な治療方法がないLUFを治療できることが明らかとなり、G-CSFは、通常の卵巣刺激方法に追加する補助的な排卵誘発治療薬として有用である可能性を明らかにした。しかし依然として排卵しない症例があり、今後は、そのような難治症例の、G-CSFと好中球と卵巣の組織学的関係について解析することを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
排卵誘発方法として、クロミフェンよりFSHを使用することが多くなり、臨床試験に参加するLUF症例が減少しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
G-CSFの投与により、現在有効な治療方法がないLUFを治療できることが明らかとなり、G-CSFは、通常の卵巣刺激方法に追加する補助的な排卵誘発治療薬として有用である可能性を明らかにした。しかし依然として排卵しない症例があり、今後は、そのような難治症例の、G-CSFと好中球と卵巣の組織学的関係について解析することを計画している。また、今までの研究により、G-CSFの現在の投与量より少なくても、排卵促進効果が見込まれるので、G-CSFの投与量を減少させた場合の効果を解析する用量比較試験を行う予定である。
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