2015 Fiscal Year Research-status Report
ミクロビオータ解析に基づいた感染症新規治療法開発の試み
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26462504
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
三鴨 廣繁 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00262775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 由佳 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (60512241)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミクロビオータ / 健常女性 / 切迫流・早産 / メタゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
健常女性22名、妊婦20名、切迫流・早産傾向にある妊婦3名、commercial sex worker (CSW)の女性8名から腟分泌物を採取し研究に使用した。培養法及びqPCR法により腟分泌物中の総菌数を定量した結果、各群間で顕著な差は認められなかった。TRFLPのフラグメントパターンに基づくクラスター解析の結果、大きく分けて3つのクラスターが形成された。クラスター1には、健常女性10名、妊婦12名、切迫流・早産傾向にある妊婦2名、CSW1名が、クラスター2には健常女性6名、妊婦1名が、クラスター3には健常女性6名、妊婦7名、切迫流・早産傾向にある妊婦1名、CSW7名が分類された。16Sメタゲノム解析による属レベルでのOTU構成比に基づくクラスター解析においても大きく分けて3つのクラスターが形成された。クラスター1には、健康女性10名、妊婦8名、切迫流・早産傾向にある妊婦3名、CSW1名が、クラスター2には健常女性1名、妊婦1名、CSW3名が、クラスター3には健常女性11名、妊婦3名、CSW4名が分類された。クラスター1がLactobacillus属優勢の菌叢であったのに対し、クラスター2はGardnellera属優勢、クラスター3はLactobacillus属の他にBifidobacterium属、Atopobium属、Bacteroides属、Streptococcus属、Clostridium属、Prevotella属等で構成される菌叢であった。TRFLPのフラグメントパターン及び16Sメタゲノム解析による属レベルでのOTU構成比に基づくクラスター解析の結果、いずれの解析法においてもクラスター1は健常者及び妊婦が多数を占めるLactobacillus属優勢の菌叢、クラスター3はCSWが多数を占める様々な属で構成される菌叢、クラスター2はそれらの中間の菌叢を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
健常女性と妊婦においては、ヒトの腟内細菌叢はLactobacillus属が最優勢であることが明らかになった。一方、CSWの女性は、TRFLP解析および16Sメタゲノム解析の結果から、Lactobacillus属優勢ではなく、多様性に富む細菌叢を有することが再確認された。さらに、TRFLPフラグメントパターンに基づくクラスター解析の結果より、健常女性、妊婦が多数を占めるクラスター1ではLactobacillus属の中でも特にL. crispatusが優勢であったのに対し、クラスター2ではL. inners優勢の菌叢であった。L. inners優勢の場合は腟内細菌叢を正常な菌叢へと回復させる処置が必要となる可能性があり、感染症の新たな治療法開発への可能性がある。また、切迫流産傾向の妊婦では、目立った特徴は認められなかったが、これについては、今後の検討検体数の増加と重症度を調査することで説明可能である可能性があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も腟内細菌叢の多様性が健康状態にどのように影響するのかを検討するとともに、切迫流・早産や不妊と関連のある菌叢や健康の維持に重要な菌叢を特定していく予定である。また、Lactobacillus属が産生する過酸化水素が腟内への病原菌の侵入を防ぐことが知られているため、健康女性の腟分泌物から採取したLactobacillus属の過酸化水素産生能や細胞付着性などに着目して、両活性が高い新規プロバイオティクス菌株のスクリーニングを行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
切迫流・早産患者の腟分泌物ミクロビオータ解析検体数が目標に到達していないため消耗品費を繰り越したものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、切迫流・早産患者の腟分泌物ミクロビオータ解析検体数の増加を計画している。
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