2016 Fiscal Year Research-status Report
乳癌細胞におけるエストロジェンの細胞増殖抑制作用の分子機構
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26462518
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
石田 真帆 山梨大学, 総合研究部, 助教 (80362086)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エストロジェン / エストロジェン受容体 / MDA-MB-231 / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳がん細胞株MDA-MB-231細胞にエストロジェン受容体(ER)を安定的に発現させたMDA-ER細胞株において、10 nMのエストロジェン(E2)を処置すると、24時間後には細胞増殖率が約50%抑制される。本研究においてGeneChip解析によりE2の増殖抑制作用に関与すると思われる遺伝子を探索し、BCAR3とFOSL1遺伝子の発現低下が増殖抑制作用に関わっている可能性が生じた。そこで、E2の増殖抑制作用について、まずBCAR3遺伝子の過発現の効果を探る実験を行った。BCAR3 cDNA clone (OriGene Technology, #SC324095)を用いて、BCAR3遺伝子とtdTomato遺伝子を構成的に発現するpBI-CMV1-tdTomato-BCAR3 vectorを作成した。これによりtdTomato蛍光を標識としてBCAR3遺伝子導入細胞特異的な増殖率を検出できるようにした。対照群には、tdTomatoのみを構成的に発現するpBI-CMV1-tdTomato vectorを遺伝子導入した。全細胞に占めるtdTomato陽性細胞率は、対照群では7.5 ± 0.61%、BCAR3遺伝子導入群では20.2 ± 0.99%であった。10 nM E2を24時間処置した場合のtdTomato陽性細胞の増殖率は、対照群では、vehicle処置群の6.2 ± 0.38%から、2.3 ± 0.13%に低下し、BCAR3遺伝子導入群でも、vehicle処置群の8.0 ± 0.61%から2.9 ± 0.03%に低下した。両群共に、増殖率はE2処置により36.7%に低下した。BCAR3抗体(Cell signaling technology, #24032)を用いたウエスタンブロッティングにより、対照群では、BCAR3蛋白発現量はE2処置により低下した。一方で、BCAR3遺伝子導入群では、対照群よりもBCAR3蛋白発現量は高く、E2処置による発現量低下は認められなかった。以上より、BCAR3遺伝子を過剰発現させたMDA-ER細胞においても、10 nM E2処置により、細胞増殖率は対照群と同程度に抑制されたことから、BCAR3遺伝子発現の低下はE2の細胞増殖抑制作用を仲介するものではない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
マイクロアレイ解析の結果抽出した遺伝子はBCAR3とFOSL1であった。両者について過発現実験を試みたが、FOSL1については過発現の有無を蛋白レベルで確認できておらず、現在検討中である。FOSL1過発現の蛋白レベルでの確認ができない場合は過発現用ベクターを作り直す必要があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
FOSL1遺伝子の過発現効果を確実に検討できるよう、過発現用プラスミドベクター作成に用いたFOSL1遺伝子配列をシークエンス解析により確認し、過発現ベクターの設計を検討し直す。
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Causes of Carryover |
実験の進行状況が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ウエスタンブロッティング試薬、プラスミド精製キットなどの消耗品費に使用する。
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Research Products
(1 results)