2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒト化マウスを用いた卵巣がんの免疫回避機構の明確化と治療への応用
Project/Area Number |
26462530
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
永井 拓 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (90363647)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 花 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70597517)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 抗体 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
【ヒト化抗体ならびに抗体関連医薬の作製】 卵巣がんに対する葉酸受容体αと、がん間質に局在する腫瘍関連マクロファージに対する葉酸受容体βの両方に作用する、抗ヒトFRαβラット抗体(No5)の低分子ヒト化抗体を作製した。まず、ラット由来の重鎖および軽鎖のフレーム領域をヒトに置き換え、9つの候補分子をデザインした。次にオリジナル抗体と同等の親和性を示す抗体を選別した。作製したヒト化抗体はCHO-K1株の高密度培養系で6-20 mg/Lが精製可能である。また、この抗体をベースとした抗体毒素(イムノトキシン)を大腸菌発現系より精製した。 【ヒト化マウス作製】 NSGマウス胎児の肝臓にヒト臍帯血由来のCD34陽性骨髄幹細胞(20,000-40,000個)を移植した。移植28日後からヒトM-CSFを300 ng/gを5日間隔で皮下投与を行った。9-10週齢のマウスの骨髄、脾臓におけるマウスおよびヒトのリンパ球、単球をフローサイトメーターで解析した。その結果、全体のヒトリンパ球においてCD11b陽性ならびにCD14陽性細胞は少数であった。以上のことからヒトM-CSFの供給が不十分であることが示唆された。現在、M-CSF遺伝子導入を用いてヒト化マウスの作製を行っている。 【卵巣がん細胞移植モデル】 ヒト卵巣がん細胞IGROV-1(FRα強発現)、ES2(FRα非発現)をヒト化マウス (n=3)、NOGマウス(n=3)の腹腔に移植し、移植7日後からの致死率と体重変化を経日的に計測したところ、ヒト化とNOGマウス間における体重変化や腹水量において有意差は見られなかった。以上のことから、ヒト化に伴う卵巣がんの増殖への影響は少ない事が示唆された。今後は先に作製した抗体ならびにトキシンを投与して治療効果を検討予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト化マウス作製に用いるCD34陽性骨髄幹細胞は臍帯血の量に依存するため、必要量の確保に時間を要した。また、M-CSFの投与量は本研究で目的とする腫瘍関連マクロファージの確認には至らなかった事が挙げられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年に比して多量の臍帯血を確保すると共に、ヒト単球・マクロファージ系の分化誘導の効率化を図るため、ヒトm-csfの遺伝子導入(ハイドロダイナミクス法)、或いはヒトM-CSFノックインマウスを用いる予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度はCD34陽性骨髄幹細胞を得る機会(帝王切開後の臍帯血)が当初の目的よりも少なかったために、必要試薬に関する金額が変更した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
CD34陽性骨髄幹細胞を精製する消耗品試薬に充てる予定である。
|
Research Products
(2 results)