2014 Fiscal Year Research-status Report
HPV組込み解析とエピゲノム解析による子宮頸がん発症機構の解明
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26462539
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 直 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (90246356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上川 篤志 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (60534253)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子宮頸がん / HPV |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究計画に沿って、子宮頸がんの原因ウイルスとして確定しているヒトパピローマウイルス(HPV)のヒトゲノムへの塩基レベルでの組込み部位の同定からがん発症の分子基盤を探ることを目的として、次世代シーケンス解析を応用した子宮頸がん細胞株における全HPV組込み部位の同定を試みた。検体として5つのHPV組込みが確認されている子宮頸がん由来の細胞株(HeLa, SiHa, SKG-I, SKG-II, SKG-IIIa)を用い、次世代シーケンス解析とゲノムキャプチャー技術を組み合わせた独自の方法によりHPVのヒトゲノムへの組込み部位を同定した。その結果、5つの細胞株それぞれにおけるHPV組込み候補部位を示す数千リードの配列データを得た。これらの配列データを専用の塩基配列解析ソフトにてDNA配列を整列・連結(アセンブリ)させ、候補配列を数百にまで絞った。アセンブリされた候補配列において組込み部位をまたぐようにヒトゲノム、HPVゲノムそれぞれにアニールするようなプライマーを設計した後、ゲノムPCRによる候補配列の検証を行い、最終的なHPV組込み部位をそれぞれの細胞株において数ペアずつ特定した。これらの最終的に特定された配列は、ダイレクトシークエンス解析にて塩基配列を全て正確に解読し、データベースとの相同性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の実験計画に基づいて順調に進めることができており、本研究計画で用いた解析手法によりHPV組込み部位を確実に効率よく同定することができたことが大きな理由である。一部の実験では、平成27年度以降の計画段階のところまで進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、計画通り順調に研究を進めることができ、予算においてもほぼ計画通りに使用してきた。研究費には少々の残額が発生しているが、平成27年度はHPV組込み部位におけるエピゲノム状態(DNAメチル化、ヒストン修飾)の解析に入る。そのため、平成26年度の残額はこれらの実験に用いる試薬・kit類の購入に使用し、HPV組込み部位において特にヒトゲノム側のエピゲノム情報という新知見が得られるものと期待している。
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Causes of Carryover |
平成26年度は順調に研究を進めることができたが、予算については予定よりも支出が少なく少々の残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の残額は平成27年度の研究計画であるHPV組込み部位のエピゲノム状態の解析およびHPVウイルス遺伝子発現制御機構の解析に使用する。平成27年度は、昨年度に同定が完了しているHPV組込み部位について上記の解析に加え、さらに検体を増やして解析予定である。
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