2015 Fiscal Year Research-status Report
HPV組込み解析とエピゲノム解析による子宮頸がん発症機構の解明
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26462539
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 直 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (90246356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上川 篤志 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (60534253)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子宮頸癌 / HPV |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、昨年度の成果を元に塩基レベルで同定したHPV組込み領域のエピゲノム状態の解析を行った。bisulfite sequencing法によるDNAメチル化レベルを解析し、HPV組込み部位(HPV breakpoint)におけるHumanゲノム側およびHPVゲノム側のメチル化状態をHPV組込みの起きていない正常アレル側と比較した。その結果、元のメチル化レベルの状態に関わらず、組込みが起きたアレルではHumanゲノム側あるいはHPVゲノム側のメチル化レベルが低い状態となっているグループと反対に高いメチル化状態を保っているグループの二つの状態に分かれていた。この結果から組込み後にはエピゲノム状態の改変が起こっており、ウイルス遺伝子発現と関連している可能性が示唆された。また、組込み部位の配列情報を精査したところ、一部HPVゲノム配列とHumanゲノム配列との間に短い相同性が確認された。この結果はウイルスDNAが宿主ゲノムに組込まれる時にはマイクロホモロジーの存在が重要な役割を果たしていることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基き、HPV breakpoint周辺のゲノム領域におけるエピゲノム状態(DNAメチル化レベル)の解析を進めることができ、ウイルスの組込みに伴うゲノムのメチル化状態の変化を捉えることができ、さらに一部の実験は来年度の計画段階のところまで進めることができているのことからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に明らかにしたHPV breakpoint周辺のエピゲノム状態とHPVウイルス遺伝子発現との関連を詳細に解析することでウイルス由来がん遺伝子の発現制御機構の解明を試みる。さらに組込み部位近傍に存在する遺伝子の発現がHPVが組込まれることでどう変化しているのかについて解析する。
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Causes of Carryover |
平成27年度は計画とおりに効率良く研究を進めることができたが、予算については予定よりも支出が少なかったため少額の残金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、HPV組込みにより変化するHuman側の遺伝子およびウイルス遺伝子の発現制御機構を解析するためにWestern blot、リアルタイムPCR、ルシフェラーゼアッセイなどの解析手法を用いて詳細に検討する予定である。
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